↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傘から始まる恋物語  作者: 霊璽
34/93

第33話 3人での帰り道

 3人で下駄箱へ向かう途中。

 「星乃さんのお家ってどっちの方向なの?」

 星乃と並んで歩いていた松原は彼女に話しかけていた。ちなみに孝也は一歩後ろを歩いている。

 「私は三河さんと同じ方向ですが……」

 星乃は後ろにいる孝也を少しだけ見ながら答える。それを聞いた松原は目を輝かせる。

 「そうなの!? じゃあ、私とも同じじゃん! やったねー」

 「そうですね」

 星乃は笑顔だったが、孝也にはどこかいつもよりぎこちないようにも見えた。だが、知り合って間もない松原にはそんな変化が分かるはずもない。

 松原は星乃と距離を近づけ、孝也には聞こえない程度の声の大きさで話し始めた。

 「……あの、星乃さん。さっきの勉強会の休憩中に私が言ってたこと覚えてる?」

 「はい、確か三河さんに好意を持ってると」

 自分で言うのよりも、ほかのひとにいわれるほうが恥ずかしいのか、普段の照れた時よりも一層赤くなっている。

 「その……それでね。お願いがあるんだけど……」

 「なんですか?」

 「少しの間でいいから孝也くんと2人きりにさせてくれないかな」

 「……わかりました」

 松原の発言を聞いた星乃は僅かに眉が動き、動揺しているようだった。一瞬返事をすることに躊躇していたがそこで彼女には断るだけに理由がなかった。

 「ありがとう〜!」

 松原は嬉々として感謝を言っていた。流石にその声だけは孝也にも聞こえた。しかしその前までは2人がなんの話をしてるのか孝也にはさっぱり聞こえなかったし、さほど興味も湧かなかった。

 そして松原と比べて星乃の表情は少し暗いようにも見えたが、変化が僅かなものであり孝也も気がつくことはなかった。


 下駄箱に着き、靴を履き替えて3人は同じ方向に向かって並んで歩き出す。星乃、孝也、松原の順番に並んでいた。

 普段なら星乃とたまに話しながら帰っているのだが、今回は違った。松原が星乃に話しかけており、賑やかだった。

 「今日の勉強会は楽しかった〜 ね、星乃さん」

 「そうですね。私も楽しかったです」

 松原の言葉に星乃も首を縦に振って微笑みながら頷いていた。しかし、間に立っていた孝也は少し顔を顰めていた。

 別に俺を挟んで会話しなくてもいいんじゃないか、と思っていた孝也。ただ楽しそうに会話している2人に割って入って話をすることは孝也にはできなかった。

 話をしながら(1人は混ざれてないが)歩いていると松原が急に今まで話に入っていなかった孝也の服を引っ張り声をかける。

 「孝也くん、ちょっとそこの公園に行かない?」

 突然自分に声をかけてきたことに少し驚いたが問題ないと思い、頷いた。

 「俺は別に構わないが……」

 そう言い、孝也は星乃を見る。どうやら孝也は星乃も来るかを確認するために視線を向けている。

 「はい、私も構いませんよ」

 いつもの柔らかい笑顔で星乃も了承する。その顔にうっすらと迷いがあるようにも孝也には見えていた。

 だがそんなことには気がつかない松原が孝也の服の袖を引っ張っていき、3人は公園の中に入っていく。

 「あ、あそこにベンチある。ちょっと休憩していこ」

 もはや星乃と孝也の返事を待たずして松原は走っていく。もちろん袖を掴まれてる孝也も走らされる。星乃も置いてかれまいと孝也を追いかけて行った。

 「はあ、はあ……おい、いい加減、服を引っ張るの、を、やめろ」

 息を切らしながら孝也が松原に言うと彼女は急いで手を離す。

 「わっ! ほんとごめんね!」

 彼女は頭を下げて謝る。

 「別、に……そこま、で、謝らなくて、いい」

 まだ呼吸が安定しない孝也に星乃が優しく心配そうに声をかける。

 「大丈夫ですか?」

 「ああ、もう大丈夫だ」

 孝也の息が整い、星乃に返事をする。平気になった孝也を見て改めて松原が謝る。

 「よかった……ほんとにごめんなさい」

 「もう大丈夫だ。顔を上げろ」

 孝也が頭を下げている松原に言う。そしてようやく松原はほっとしたような笑顔をで顔を上げた。

 ベンチに座ろうとも思ったが、無理やり走らされた孝也は喉が渇き始めていた。辺りを見回すと自販機が少し離れたところにあるのを見つけた。

 「俺は飲み物を買いに行ってくる。2人はここで……」

 「私もついて行く!」

 待っていろと言おうとしたら松原が言葉を遮って、手を上げて言う。孝也はもはや笑ってしまった。

 「星乃も来るか?」

 星乃にも聞くが彼女は首を横に振る。孝也の後ろで松原が両手を合わせ、口パクで『お願い!』と言っていた。

 「いえ、私はここで待ってます」

 そう言いながらベンチに座る星乃。

 「そうか、それじゃあ少しだけ待っててくれ」 

 「わかりました。行ってらっしゃい」

 孝也は自販機に向かって歩き出す。

 「星乃さん、ありがと!」

 孝也が少し離れたところまで行ったのを確認して松原は星乃に感謝を伝える。そして孝也の隣まで走って行った。

 2人が並んで楽しそうに話しているところを見ていた星乃はどうしようもなく不安な気持ちになっていた。理由は彼女にも分からない。

第33話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。

少し遅れてすみません。なんか最近、後書きで謝ってばかりのような気がします。気のせいでしょうか? まあ気のせいでしょう!

ここからはお願いです。ブックマークなどお待ちしております。よろしくお願いしますね〜

それではまた次回、お会いしましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。