第32話 勉強会、再会
「それじゃ、再開しますか」
松原と遙がお互いに謝ったところで晴翔の一声で勉強会が再開された。全員が一斉にノート開き、ペンを握って勉強を始める。
ただ何もしていない人が1人。孝也は頬杖をついて窓の外を眺めていた。
「なあ、孝也。ここってどうやるんだ?」
「他のやつに聞け」
休憩する前に質問攻めにあうのを避けるために即答で断った。晴翔は眉尻を下げて泣きそうな声を出す。
「ええ〜冷たいな、教えてくれよ……」
「だから他のやつに教えてもらえって。星乃とか松原とかいるだろ」
「あれ、私は?」
孝也の言ったことに疑問を持ったのか、遙は首を傾げて自分のところに指をさしている。
「お前は晴翔と同レベルだろ」
「ひどっ! ええ〜ん、はるく〜ん。たかちゃんがひどいよ〜 シクシク」
彼女は孝也の言葉を聞くと晴翔の胸に飛び込んで嘘泣きを始めた。晴翔は急に飛び込んできた遙の頭を撫でている。
「よしよし、ああ〜可哀想なはるちゃん。孝也は人じゃないからな〜」
晴翔は優しく遙を慰めながらしれっと孝也を貶す。
「一応、人だわ」
孝也が言った言葉に星乃と松原は心の中で「一応なの?」と思った。
孝也は教える気がなく、晴翔は嘘泣きの遙の頭を撫でながら孝也に向かって文句を言っていた。そんな状況に痺れを切らした星乃が口を開く。
「それなら私が教えますよ」
「ええ! 本当!? たかちゃんより星乃さんの方が全然いい!」
晴翔の胸から飛び出す。やっぱり嘘泣きだったようで目は腫れてない。そんなことよりも孝也は遙の言ったことに少し引っ掛かりを覚えた。
「おいちょっと待て。今まで散々教えてもらっておいてその言い方はなんだよ」
流石にムカついた孝也は声を低くし、怒りを態度に表し始める。星乃と松原は勉強の手を止めて固まった。孝也が怒っているところを初めて見るからだろう。
それに昔からの友達である晴翔と遙もヤバいと思ったのか焦り始めていた。
「まあまあ、嫉妬すんなって孝也。安心しろ、教えるなら俺という存在がいるじゃないか」
なんとか場を和ませようとしたのか、晴翔が親指で自分を指しながら言った。
「はあ……何言ってんだ? お前も星乃……は遙を教えるから、松原に教えてもらえ。俺は漫画を読んでくる」
怒りよりも先に呆れが心を支配し、それだけを言い残すと席を立ち、漫画コーナーへ去っていった。残された晴翔と遙は孝也が怒らなかったことにほっとしていた。
急に晴翔に教えろ、とだけ言われた松原は内心焦っており、星乃は立ち去る孝也の背中を寂しそうに眺めていた。
漫画コーナーにやってきた孝也は大きくため息を吐いた。ここは勉強会の場所からは死角だったので床に座る。
「危なかった……久しぶりに怒りそうになったな」
自分の先ほどの態度に反省する。基本、感情を表に出さないように気をつけてはいるのだが、偶に感情が出てきそうになる。
「もっと気をつけないとな」
一言呟くと、棚に入っている漫画を表紙を見ずに取ると黙って読み始めた。
漫画を読んでいると肩をトントンと優しく叩かれる。振り向くと星乃と松原が立っていた。
「どうした?」
漫画を閉じて立ち上がりながら聞く。
「そろそろ6時になるので勉強会は終わりますよ」
「もうそんな時間か」
一言返事をすると漫画を元あった場所に戻す。
テキトーに取った漫画が意外と面白く、時間を忘れるほど夢中で読んでいた。
星乃たちの後ろをついていくと既に机の上は片付かれていた。
戻ってきたことに気がついた遙が星乃のところまで駆け寄ってくる。
「星乃さん、今日はありがとね! めっちゃ分かりやすかった!」
「いえ、私も頭の中を整理できたので。ありがとうございました」
晴翔も松原のところまでやってきた。
「松原さん、今日は教えてくれてありがとう」
「私の拙い説明で理解してくれてありがと! 晴翔くん」
それぞれに感謝を言い合う。孝也は鞄を背負いながらそんな光景を眺めていた。
それぞれ話し終え、晴翔が自分の彼女の隣に行く。そして2人は自然と腕を組む。
「それじゃ、ハルくん行こ」
遙の言葉に晴翔は頷く。
「そうだね。3人ともまた明日」
「バイバーイ!」
そして2人はてを振りながら図書館を出て行った。
「じゃあ、私たちも帰ろっか」
松原の一言に2人は頷くと玄関まで3人で向かった。
第32話を読んでいただきありがとうございます。作者の霊璽です。
今回はちょっと早めの更新です。孝也くんが少し感情を表していたので私もそれに乗っかります!
そして私なんと! カクヨムでも連載を始めました!
まあ、この小説まんま投稿してるだけなので全く内容は変わりません。
宣伝でした!
それではまた次回、お会いしましょう




