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エンドレスエンド  作者: kaxali
戦線終結/千繕醜血
82/88

戦闘開始

先週はほとんどバイトしてたから更新できなかったけどまぁ許せ

「是が非でも、そこを通らせてもらう」


 ”かつて”の部下2人に、ダイゴは単調な声でそう言い放った。




 言い終わると同時にダイゴは足の力を抜き、その場に倒れるかのようにしゃがみながら、上半身を前に倒す。

 膝と鼻先が硬いコンクリートの地面に触れようにいうタイミングで、力を抜いていた足で思い切り地を蹴り、さながら魚雷のように雁屋と桂川、2人の足元まで飛び込んだ。


 普通の人間であれば、急にダイゴが目の前から消えたかのように思うだろう。しかし、相手はダイゴと共に幾度もの死線を潜り抜けた奇崎隊の隊員だ。


 桂川はダイゴが眼前から姿を消した瞬間、既に足を振り上げていた。


 桂川が得た魔術は加速魔術、自他の肉体の動きを加速させる魔術だ。この魔術を使い、桂川は戦闘中隊員たちを加速させ戦闘を有利に進めるバッファーの役割を担っていた。


 そして、ダイゴが飛び込んできたタイミングに合わせ、その加速された踵を振り下ろす。

 桂川の攻撃は轟音と共に土煙を巻き上げ、視界を奪われないよう2人は素早く後退し、煙の中から脱出する。


 土煙が晴れると、桂川が踵落としをした場所は大きくひび割れ、ちょっとしたクレーターが出来ていた。

 だが、そのクレーターにはダイゴの姿はおろか、血痕1つなかった。

 しかし、2人は今の攻撃程度、ダイゴにはかすりもしないことは分かっていた、雁屋は腰に携帯しているナイフを抜くと同時に自身の背後めがけて振る。

 すると、そこから甲高い金属音が鳴った。2人の背後には、雁屋と同じようにナイフと握るダイゴの姿があった。


 先程の桂川の踵落としを食らう直前、ダイゴは体を猫のように空中でひねって回避すると、そのまま2人の足元を抜け、背後に忍んでいたのだ。

 そして、攻撃の後は後ろに跳んでくることを予想していたダイゴは、2人からナイフを奪い、そのまま首を斬る算段でいた。

 ダイゴの想定通り、2人はバックステップでダイゴの元へ飛び込んでいった。だが、奪うことができたのは桂川のナイフだけで、雁屋のナイフは奪おうとしたその瞬間、既に雁屋が柄を握っていたため、諦めることにした。


 ダイゴは背後からの奇襲は失敗とすぐに判断し、足に魔力を込めつつ、しかし魔術は発動させずに雁屋を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた雁屋は壁に頭を打ち付け、後頭部から血を噴き出していた。

 桂川との1対1に持ち込んだダイゴは、雁屋を蹴とばした足で桂川を蹴る。

 桂川はとっさに腕でガードするが、ダイゴは足に込めていた魔力で貫通魔術を発動させ、ガードしている腕ごと、桂川の脇腹を抉った。

 バランスを崩し倒れそうになる桂川の頭をダイゴは無情にも、真上から魔術を発動させた拳で殴り、後頭部から顔面にかけて大きな風穴を開けた。



 桂川の頭から拳を引き抜くと、軽く腕に付いた血を払い、足に魔術を発動させて空へと大きくジャンプする。魔術によるパワーを利用すれば、10mくらいダイゴは容易く飛べるのだ。

 すると、ダイゴが先程まで立っていた位置にナイフが飛んできた。

 壁に頭を打ち付け頭から血を噴き出していたハズの雁屋が立ち上がり、そのナイフを投げたのだ。


 ダイゴは雁屋が立ち上がっていることを確認すると、雁屋を踏み潰す勢いで空中から落ちた。

 だが、来ると分かっている攻撃を大人しく待つほど雁屋はバカではない。

 今いる位置から一歩下がり、ホルスターから抜いた拳銃の照準をダイゴの着地点に合わせた。

 まさにダイゴが着地しようというその瞬間、雁屋は引き金を引こうとするが、それは叶わなかった。

 雁屋の両手首がダイゴの踵によって切り落とされたのだ。


 上から銃を構える雁屋を見ると、好都合とばかりにダイゴは魔術を発動させた足を前に突き出す。

 そして、着地と同時に雁屋の両手首に踵落としを食らわせると、そのまま地面と踵でサンドイッチにし、雁屋の手首をグチャリと潰した。


 だが雁屋は腕に魔力を込めると、失ったハズの手を断面からズルッと生やした。


 これこそが雁屋の魔術、治癒魔術だ。傷を瞬く間に癒し、失った体のパーツをも再生することさえできる。この魔術で雁屋は最前線で攻撃を一身に引き受けるタンクの役割をこなしていた。


 両手を再生させた雁屋は、その手でダイゴの足を掴み、ダイゴの体を持ち上げ地面へと叩きつけようとする。

 しかし、ダイゴは雁屋の頭上まで持ち上げられた瞬間、掴まれていない方の足を振り子のように力強く振り、その勢いで掴まれた足から雁屋の手を振りほどく。

 さらに、そのまま身体をグルリと回転させ、空中で上半身と下半身の位置を入れ替えた。


 武器を失い、拘束もほどかれた雁屋はダイゴから距離を取ろうとするが、ダイゴはそれを許しはしない。

 桂川から奪ったままのナイフを構えながら、空いている左手で雁屋の肩を握り潰すと言わんばかりの力で掴む。

 獲物を捕らえたダイゴは、治癒魔術が追いつくより先にナイフで雁屋の頭をみじん切りにした。




 頭を失った雁屋の体が倒れる前にダイゴは掴んでいた肩から手を離し、地面に降りた。


 血の池から何かを拾うと、ダイゴは血をドクドクと流し続ける部下の死体に背を向ける。

 そして、床にしゃがみ込んで一度大きく息を吐くと、正面にチラつく3つの銃口に目を向けた。


「よう、お前ら」


 ダイゴに銃を向けていたのは、北野、倉木、小秋の三人だった。


「珍しいな小秋、お前が戦闘に直接参加するなんてな」

「……そうさせたのはあんたじゃないっすか、奇崎さん」

「フッ……そう、だな」


 涙を浮かべる小秋に、思わずダイゴは自虐の笑いをこぼした。


「悪いなお前ら、こんなことになっちまって」

「悪いと思うなら最初からしないでくださいよ、ダイゴさん」


 感情を押し殺す北野は、ダイゴとは目を合わせずに話す。

 だが、それはダイゴも同じだった。先程拾ったモノを手に、彼らの頭上でまぶしい明かりの灯った部屋を見ていた。かつて、いつもの中年と軍帽の上官から魔術について聞かされた、あの会議室だ。

 この会議室は軍が大規模な作戦を行うときには指令室として使われる。おそらく、今もそうなのだろう。


「さて、俺はもう疲れちまったよ、さっさと終らせようぜ」


 そう言ってダイゴは3人の顔を見━━


「そうだな」


 目が合った瞬間、倉木は引き金を引き、それを合図に3人は弾丸の雨をダイゴに浴びせた。

本当は今回だけで奇崎隊全員の戦闘を書こうと思ってたんですけど雁屋と桂川との戦闘だけで2000字超えちゃったんで予定変更。あと冒頭のダイゴの魚雷アタック(仮称)は書いてて「これ攻めの消力じゃね?」なんて思ったりしました。次回、奇崎ダイゴ、本気を出す。デュエルスタンバイ!

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