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エンドレスエンド  作者: kaxali
戦線終結/千繕醜血
77/88

貫通魔術

今回は戦闘回ですよ存分に脳内でアニメーション化してお楽しみください

 9日間。自分の寝ていた期間を知ったダイゴは唖然とし、数秒経って今の状況を飲み込み焦りを覚えた。


「い、今の戦況はどうなってるんですか!?俺の家族は!?部下たちは今どこにいるんですか!?」


 ダイゴは思わず、眼前の中年に質問攻めしてしまう。一人称も素のものが出てしまっているが、気付いていないようだった。

 だが、それをされた当の本人は軽く笑うと、一度ダイゴに深呼吸をさせ落ち着かせる。


「うん、落ち着いたようだね、全くね。じゃあ1つ1つ答えていくけど、まずは君の家族。彼らは我々の基地で保護しているから安心するといい」

「……そうでしたか。お気遣い、感謝します」

「いいさいいさ、同僚の家族は僕の家族も同然だからね」

「では、私の部下と戦況の方は?」

「そっちも案ずることはないよ、君の部下たちが粉骨砕身の精神で頑張ってくれてたおかげで今は膠着状態だよ。ついでに言うと、彼らも生傷はあれど今後の作戦に支障をきたすような怪我は負っていないさ、全くね」


 家族、部下、戦況、そのどれもが杞憂に過ぎたことにダイゴは胸を下ろす。

 因みにだが、ダイゴには妻と今年で13歳になる息子がいる。ダイゴはこの家族のために戦っていると言っても過言ではない。


「おや、噂をすれば、だね、全くね。それじゃあ僕はここいらでお暇させてもらうよ、全くね」


 そう言って中年はパイプ椅子から腰を浮かし、ダイゴの病室をゆっくりとした歩調で去っていった。


 そして、中年と入れ違うように、戦場から帰還したダイゴの部下たちが病室に入ってきた。個室の病室と言えど、ガタイのいい軍人が6人もいると流石に狭苦しく感じたのか、ダイゴは窓を空けるように言った。


「フゥ、ひとまずは無事で何よりだ。そして俺のいない間、よく踏ん張ってくれた、礼を言う」

「いえ、俺たちだって軍人ですから、このくらい当然です。それよりダイゴさんの手術が無事に成功してよかったですよ」


 ダイゴが部下たちに頭を下げると、その内の1人、倉木が応えた。

 そう、この倉木はのちに禍言によって殺害される、あの倉木である。


「あぁ。だがその手術で得た能力について、俺は何も聞かされてねぇし、実戦をしてみなきゃ真の意味で成功かどうかは分かんねぇな」

「フッ、相変わらずですね、ダイゴさん」


 倉木は手術前と変わりないダイゴの言葉に安心感を覚え、安堵の笑いをこぼした。


 だが、その安堵も束の間、彼らのいる病室を激しい揺れが襲う。

 病室の外は一気に騒がしくなるが、彼らは微塵も動じない。なぜなら。


「小明」

「うす……周囲300m圏内の主要なライン3か所が爆破。”サカナ”が”エサ”に引っかかったみたいっす」


 この程度の奇襲、彼らには日常茶飯事だからだ。

 彼らはこの病院までの道中、尾行されていることに気付いていた。恐らくは、日本軍随一の能力を有するダイゴを殺害するためだろう。

 だがそれを逆手に取り、襲撃犯を壊滅させるためにあらかじめ準備を整えてから、この病室に来ていた。


 小明(コアキ)と呼ばれた部下の1人が懐からタブレット端末を取り出し勢いよく操作すると、一瞬にして周囲の状況を割り出した。

 小明の報告を聞いたダイゴは腕や胸に繋がるチューブを引き抜くと、服の袖をまくりあげながらベッドから立ち上がった。


「ハッ、腕試しにゃ丁度いい。お前らはここに残って避難誘導の手伝いでもしとけ」


 少し笑みを浮かべながら、ダイゴは部下たちから装備を受け取る。。


「さァ、返事はいらねェ、行動で示せ!行くぞォ!」


 ダイゴは、勢いよく窓から飛び出した。



 そこからはあっという間に片がついた。



 自身の腕時計型端末に表示された情報を元に、敵がいるであろう地点まで、障害物などをパルクールの要領で飛び越えながら、一直線に駆け抜けて行く。

 住宅街の屋根を駆け、目的地に辿り着くと、今まさに病院内に突入しようとしていた一団がダイゴの真下に居座っていた。

 意表を突かれた彼らは思わずダイゴに銃口を向けるが、既に彼らの視界からダイゴは消えていた。

 ダイゴは家屋の壁を蹴り、一瞬にして彼らの足元まで距離を縮めていたのだ。そして集団の中心に陣取ると、うかつに銃を撃てない状況を作り出す。

 こうなってしまえばもう彼らに為す術はない。


 まず1人目が顎に掌底を喰らい、脳震盪を起こし倒れる。そして倒れた彼から銃を奪うと、両隣にいる男の大腿と手を撃ち抜く。

 足と手を撃たれ、立つことも銃を構えることも出来なくなった彼らを盾にしつつ残りの者たちも同様に撃つが、3人目を撃ったところで弾切れを起こしてしまう。


 だがダイゴは何も動じることはなかった。なぜなら、心臓から伝わる今まで感じたことのないエネルギーが、その存在をこれでもかと主張していたからだ。

 その主張は同時に手術で得た能力がどのようなモノなのかを教えてくれた。

 ダイゴは自身に刻まれた能力を知ると、病院で 部下から受け取ったナイフを残っている内の2人めがけて投擲する。

 すると、ナイフはその二人の頭蓋を貫通し、さらに奥にいる者の眼球まで抉った。


 ここまで来ると、襲撃を企んでいた彼らも一体どんな強者を相手にしているかを悟り、戦闘を放棄し悲鳴を上げながら逃げようとする。

 だがこれを見逃すダイゴではなかった。

 逃げようとしたのは3人。その内1人は弾切れした銃のグリップで頸部の骨を殴られ、1人は後頭部を掴まれたままコンクリートの地面にこすりつけられ、最後の1人は背中を蹴られ、そのままダイゴの足が胸を貫通した。



 これと似たようなことを残りの二か所でも行うと、腕時計型端末で小明に連絡をする。

 病院を飛び出してからここまでわずか3分、そのうち移動時間が2分以上を占めていた。つまり、20秒程度で一団を壊滅させたことになる。


「こちら奇崎、外の敵は片付いた。そっちはどうだ?」

「こちら小明、死者なし、けが人は……まぁ、しいて言うなら避難の途中でずっこけたドジッ子ナースが鼻血を出してますけど、それ以外はいません」

「分かった、じゃああとは清掃班を呼んで後片付けしてもらうか」

「了解です」


 通信を終了させたダイゴは顔についた返り血を拭い、自身の手を見つめながら呟く。



「貫通魔術、か。なかなか使えそうじゃねぇかよ」

今回は前回から1週間くらいしか開けませんでしたよ褒めい褒めいよせやい照れるよい。そんなことより戦闘シーン書くのマジで楽しい。このキャラはどういう戦闘の仕方をするかとか、アクロバティックな動きを文字でどうやって表現するかとか考えるの超楽しいっすよ

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