プロローグ
1ヶ月以上お待たせしました8章スタートです!!!マジですまん!!!!!!!!
2017年。その年の俺の記憶は、血と硝煙の臭いばかりだ。
装甲車両の中で、毎日のように鳴り響く警鐘を目覚ましに起き上がる。
軽い食事が済んだ時には既に戦場のど真ん中。
弾丸と爆薬の雨をかいくぐり、戦闘を終えると車に戻り次の戦闘まで待機する。
そんな毎日だった。
だが、それもこの後の地獄と比べたら、ぬるま湯みたいなものだった。
「まず、俺が正面から突っ込む!その隙にお前らは後方に回ってやつらのアタマを落とせ!いいか、返事はいらねェ、行動で示せ!……スゥ、行くぞォッ!!!」
男はその掛け声と共に装甲車両の中から飛び出すと、前方に見える敵国の兵めがけ走り出した。
そして無傷で砲撃用の設備まで辿り着き、瞬く間に敵兵ごと爆破した。
それを見た残りの5人も車内から飛び出し、大外から敵本陣へと走る。
もちろん男にも、そしてその部下たちにも弾丸が降り注ぐが、彼らは驚異的な身体能力でそれを躱しながら向かってくる兵を次々に殺していった。
男が単独で敵兵の3割を殺した頃、ようやく部下たちは敵本陣のテント前に到達した。
ここに来るまでの間に車などは全て爆破しており、後は間抜けな面をした敵兵の上官たちを通信設備ごと爆破するだけとなっていた。
部下たちは全員目を合わせると、一度だけ頷き、起爆寸前を爆弾をテントに投げ入れ、目標が完璧に爆散したことを確認すると、男の元へと駆けて行った。
「……終わったみてェだな」
返り血で真っ赤に染まっている男はそう言いながら、帰ってきた部下の数を数える。
「うし、全員いるな。撤収だ」
誰一人欠けていないことを確認すると、男たちは装甲車両に乗り込み、戦場から姿を消した。
現在、ソ連とアメリカの戦争が引き金となり、第三次世界大戦の戦火がこの地球の包み込んでいた。
アメリカの同盟国であった日本も当然、その戦火から免れることはできず、手始めに東京が爆撃された。おかげで首脳陣は全滅し、アメリカの指揮の元、自衛隊が日本の実権を握っていた。
そんな自衛隊の一員である彼の名は奇崎ダイゴ。そう、後に人類最大の敵を北往生市に連れ込んでしまう男だ。
「……はぁ、またこれか。一体俺たちはあと何回こんな虐殺を繰り返さなきゃいけないんだろうな」
装甲車内の冷たいシートに座り込んだダイゴは、新たにできた腕の傷を止血しながらそう呟いた。しかし、男の周りにいる者たちは皆疲れ切った表情で口を開く体力もないようだった。
「少なくとも……お上さんが戦争をやめようとしない限り、このマラソンにゴールは見えませんよ、奇崎さん」
沈黙に耐えきれなくなったのか、ハンドルを握る部下の1人が答えた。その通りだ、と乾いた笑い声でダイゴはそれを肯定すると、車内は沈黙に支配された。
しばらく車を走らせていると、ダイゴの携帯に一通のメールが届いた。それにざっと目を通すと、タバコを一本取り出し、それに火をつけながら口を開いた。
「朗報だお前ら。……フゥ、帰ってこいってよ」
ダイゴが見せた液晶に映し出された”帰還命令”の四字に、車内の空気は心なしか、先程の重さを少しばかり手放したようだった。
「うわっ」
ダイゴ一行は北海道の新本部に到着したが、本部の車庫前に立つ恰幅のいい中年の男を見つけると、運転席に座るダイゴの部下は思わずそう漏らしてしまった。
「ん?どうした北野?」
「ほら、見てくださいよアレ」
「うわっ」
ダイゴもまた、運転席の部下、北野と同じ反応を示した。
「いやぁー全く君の隊にはホレボレするよ!全くね!君たちのおかげで日本の独立ももう目の前だよ!全くね!お疲れさんね!」
「いえ、不甲斐ない上司を支えてくれる優秀な部下のおかげですよ」
「ははっ、そう自分を卑下しなさんな!全くね!とりあえずさっさとシャワー浴びてくるといいよ!君たちちょっと、いやかなり臭いからね!全くね!あと奇崎くんは1時間後に会議室集合ね!それじゃあね!」
自分が嫌われていることなど露ほども知らず、嵐のように喋りたいことだけ喋ると中年は車庫から姿を消していった。
そうですよ何度目かの過去編ですよ、1章で軽く出てきて4章で禍言くんにボコされたイヤに細長いグラサンのおっさんこと奇崎ダイゴが主人公ですよ。実はこの章はアラスカでの戦いを書くつもりだったんですけど紆余曲折あってこうなりました。




