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エンドレスエンド  作者: kaxali
魔術霧中/痲術夢中
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霧都動乱、開戦

つい最近年が明けたと思ったらもう月末ですよ速すぎやしませんか……もしやスタンド攻撃?

 記録 霧都動乱


 概要 11月29日未明に勃発したアジアの少年と、神前議会の魔術師による戦争。

この戦争は零賢がアジアの少年に敗北したことにより終結した。

この戦争によりロンドン市の住民850万人が死亡、または行方不明となっている。

また、風賢、地賢、時賢の三名の死亡も確認されている。

無論、被害は人的なものだけではなく、物的被害も甚大であった。

ロンドンの象徴たる時計塔、並びにその周辺の建造物の倒壊。大英博物館に所蔵されている美術品や遺物の破壊など。詳細は別紙に添付とする。

このアジアの少年には共犯者がいると思われ、零賢との戦闘を終えた少年をこの共犯者が回収していたことが生存者から明言された。




「ゥゥォオオオァァァアアアアッッ!!!」


 もはや人とは思えぬ雄たけびをあげながら禍言は暴れていた。

 否、これだけの被害を出しておきながら”暴れる”などという単語で済ますのはあまりに短慮というものだろう。


 3時13分。

 禍言が生きる災害がごとく暴走を始め、わずか5分で既に16万人の死者が出ていた。

 禍言が一度腕を振るうと、台風をはるかに凌ぐほどの暴風が巻き起こり、その風の撫でた場所にあったものは全て等しく空に舞い上がる。

 これを阻止しようと何十、何百という魔術師が元凶である禍言の元に駆け着けるが、為す術なく瓦礫と共に空を舞い、その瓦礫にすり潰されていった。

 

 3時16分。

 禍言の魔の手がかの宮殿に及ぶ直前、ついにロンドン最強の男が現場に到着した。

 幸い、宮殿などの重要な場所には魔術による障壁で防御されており、被害はほとんどなかった。しかし、血と肉片で本来不可視のはずの障壁、その輪郭がクッキリと浮かび上がっていた。


「なんだよ、これ。……これ全部、お前がやったのか?禍言」

「しィィるかよォォォッ!!!」


 エンジンフラッシュは数時間前のはてなの忠告の意味をここでようやく理解した。

 ここにくるまでのエンジンフラッシュは、正直禍言をナメていた。所詮はフィジカルが他より優れているだけの子ども、俺の相手ではない。そう捉えていた。実際、つい先刻までの禍言ならエンジンフラッシュの脅威足りえなかった。

 しかし今の禍言は体力だとか、肉体への負荷だとか、そんなことに気を配ってやるほどの頭はなかった。ただ自身の内に渦巻く激情のままに拳を振るっているからだ。

 そんな激情の拳は、ドス黒く変色した返り血に隠れており、絶望に染まり立ち尽くすエンジンフラッシュの顔面を捉えた。


 

 次の瞬間、音もなくエンジンフラッシュは宮殿の障壁に激突し、一瞬遅れて人の顔を殴ったとは思えないような破裂音が響く。


 本気を出さなきゃ俺は確実に死ぬな。

 自身の歪んだ顔面を修復しながら、エンジンフラッシュは心中でそう呟き、修復が終わると目を閉じ大きく息を吸い込んだ。

 そしてフゥッ、短く息を吐きながら目を開く。その瞳に今まで禍言に向けていた感情は何一つなかった。


「禍言、お前を今、ここで、確実に仕留める」


 そう告げると、手のひらを禍言に向ける。エンジンフラッシュはたったこれだけの動作で、禍言の周辺を真空に置換した。

 しかし禍言は既にその場にはおらず、エンジンフラッシュの懐に潜り、低い姿勢から顎下を狙った拳を放つ。

 エンジンフラッシュはこれを受けるが、インパクトの直前に上に飛ぶことで衝撃を受け流し、そのまま禍言の頭上に飛び上がった。

 禍言はこれを追い空へとジャンプする。しかし、それこそがエンジンフラッシュの狙いだった。

 禍言を周辺被害を最小限に抑えられる空中に誘いこむと、エンジンフラッシュは一気に決めにかかる。

 一瞬口を開き、魔術を発動させた。


「……真空で捉えられねぇなら、宇宙に飛ばしてやりゃいいよな。じゃあな、人類最大。お前は、はてなさんと、そんでもって俺の次には強かったぜ」


 迫りくる禍言はその魔術により為す術なく消え去り、代わりに、エンジンフラッシュの手には拳大の白い石が握られていた。



 この時のエンジンフラッシュに油断というものは欠片も存在していなかった。

 どれだけ馬鹿げた膂力、たとえ人類最強を凌ぐ程のものを持っていようとも、”月まで転移させてしまえば”クマムシでもない限り生きて帰ってくるなんてことは不可能。そう考えるのは当たり前だ。

 だから、これはエンジンフラッシュの油断によるものではない。

 ただ--


 --リミッターの外れた禍言が、人類の常識を逸脱しすぎていただけなのだ。



 ロンドン北西部と月面、この二か所に、ほぼ同時にクレーターが生じた。

さぁついに始まりました禍言の”気の向くままにうぜぇやつらをぶっ殺せ大戦争”!こんなのに巻き込まれたロンドンにお住まいの魔術師でもない一般住民の方々は……ドンマイ!

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