君は別宇宙を感じたことがあるか
まさかまさかの2日連続更新!まぁ実は前回と同じ日に書き終わったんですけど。どうせだから次の日に予約投稿しときました。
「なるほどねぇ。つまり要約すると、あの人に気に入られちゃって困ってますぅ、と」
「だいぶねじ曲がったが、なんとなく理解していただけたようで何よりだ。それで、返答は?」
「いやよ面倒くさい。それにあなたたち、あの人類最強の敵ってことはそういうことなんでしょ?そんな人に協力するわけないじゃない」
「そう言わないでくださいよ、このままじゃこの人たち死んじゃうんですよ?」
「ん~フミちゃんがそう言うならお姉さん手伝ってあげる!」
「こいつちょろくね?」
フミの”お願い”を聞いたお姉さん仙人から、すんなりOKを貰った。
すっかり日も沈み、冷え切ったのこの臨海都市は、都市とは思えぬ静けさを放っていた。
まるで、この街に現れた未知の来訪者をじっと監視するかのように。
そんな静かな夜に、どこまでもフミ第一なお姉さん仙人は、フミを怪我させる訳にはいかないと禍言を連れ、このビルの屋上へと向かっていた。
「あの子の頼みだから手伝ってあげるけど、本当は嫌なんだからね。そこん所、忘れないでよね」
「へいへい、ありがてぇありがてぇ」
「チッ、まぁいいわ。ボコボコに、コホン。もとい徹底的に教育してあげる」
うっかり本音を漏らすお姉さん仙人を、禍言はじっくりと観察していた。先刻での敗北から”とりあえず何も考えず突っ込まないようにしよう”という教訓を得たのだ。
腰に届く黒髪は隙間から青が見えていた。いわゆるインナーカラーというやつだ。
その長い髪は縛らずにゆらゆらと揺れており、禍言は、これ掴んで殴ったろ、と考えていた。
先ほどの場所にいたときから分かっていたことだが、すらりと伸びた足が生み出す長身に、階段の段差の相まって禍言は彼女を見上げていた。しかも、これでヒールは履いていないときた。
身長というのは戦闘において非常に大きなアドバンテージとなる。それは2年間の北往生市での戦闘で禍言も理解していたことだった。
ここまで禍言はこの女性とどう戦うかを考える。しかし禍言、長時間思考することは得意ではなかった。
「でもなんとなく勝ち筋は見えたぜ」
「君が頭の中でどうやってわたしに勝ったのかは知らないけど、ろくな勝ち方じゃなさそうね」
禍言が勝ち筋を導き出した時には、2人はすでに屋上に着いており、お姉さん仙人はコンクリートの床に手を当て、静かに目を閉じた。
「ふぅ……魅せよ、内包宇宙」
その瞬間、周囲のビルの明かりがブツリと消え暗闇となり、代わりに星空が広がった。禍言はこの女が能力、否、仙法を発動させたのだと悟った。
「そういえば、わたしの名前をまだ教えてなかったわね」
星の照らす空間で、彼女は名乗った。
「覚えておきなさい。--
--星鸞、これがわたしの名よ」
禍言は靴裏とキスをしながらその名を聞いた。
「あの人たち、そろそろ始めましたかね?」
「あぁ、今聞こえた破裂音がそうだろうな」
「えっ?……あぁそうですね!聞こえましたねぇ、えぇ!」
「今のは嘘だ。こんなに綺麗に騙されるとは思いもしなかった」
「んもう!」
博士の嘘にまんまと騙されたフミは頬を膨らませた。
「ところで、あの女の能力はどういうものなんだ?時間操作だというのはまぁ分かるが。いや、時間操作などという物理を無視した力が理解できたわけではないのだが」
「へ?」
「いや、気にするな」
博士はそもそも、時間操作などというワケノワカラン能力を持つ者がこんなにも存在すること自体理解できていないのだが、そこまで言ってしまうと話が長くなってしまうのでここでは自重した。
「はぁ。それで、星鸞さんの能力でしたね。あの人の能力はですねぇ、あたしもさっき実演してもらう形で教えてもらったんですけど、正確には時間操作じゃないんですよ」
「ほう、続きを言え」
「はい、あの人はどうやら、この世界の、えーっと、ウン万倍で時間が過ぎる宇宙を体内に内包していて、それを顕現させてるんですって」
「……なるほど、よく分からんということがよく分かった」
仮にも科学者である博士は理解することを諦めた。
「つまり、すでに稽古は終わっている可能性がある、ということか」
「かもしれませんね」
「まぁ、どうであれ、あいつらが帰ってくるまで、ワタシたちは茶をすするしかやることがないわけだ」
「そうですねぇ」
2人は、勝手に冷蔵庫から見つけたお茶をすするのだった。
ずっとヘッドホンして歌聞きながら書いてたせいでお耳が痛いです、助けよ




