ハイなリターンにはハイなリスク
お久しブリーフ
装置の起動と同時に肉体は量子化し、距離も障壁も全てをすり抜け、中国の砂漠地帯、その真っ只中に居を構える量子科学研究機構中国支部に再構築される。その間、わずか0.13秒。
「まぁもう済んだことだけどさぁ、なんでオレの話無視すんの?」
「お前の話なぞ聞いてどうしようっていうんだ」
「ケッ」
そして研究棟全8棟が砂漠へと還元されるまでに、さらに13秒。迎撃システムが作動し、出現したばかりの2人を全方位から機関銃で狙っていたが、たった13秒で施設まるごと、博士のビームドームによって、まるで始めからなかったかのように消失させられた。
「で、こんなところまで来て何をしでかすつもりだ」
「地面にお絵かきするだけ」
「……あぁ、またアレをやるのか」
博士の言うアレとはつまり、北往生市で行った大殺戮の陣。それを中国都市部で行い、前回以上の殺戮を行おうと、博士はそう読み取ったが。
「いんや、今回は前の比じゃねぇぜ。なんたって今回は一気に地球まるごとやっちまうからYO!」
禍言、もとい虚言の立案した計画とは、つまり北往生市で使用した陣を世界各地に用意し、それらを点と点を結ぶように繋げ、地球全体を覆う人類滅亡の陣を作り上げる、というものだった。
日本の北往生市に1つ、残るはここ中国の砂漠地帯、ロンドン、そして北米のアラスカ。この4ヶ所に作り、ある"特異点"から南半球に複製する、らしい。
その"特異点"というものが何なのかは、虚言の記憶を掘り起こしても見つからなかったらしいが。
「まぁともかく、ここからちょっと行ったところに書けばいいらしいし、さっさと終わらせて次んとこ行こうぜ」
「そうだな。だがこんな砂漠で地上絵もどきを書いたところで、すぐに消えるんじゃないか?」
「そりゃあオメェアレよ……どれよ?」
「考えていなかったのか……まぁ、それなりの出力でクロスインパクトを振るえば砂を溶かして刻めるだろう」
「じゃあそれで」
2人は灼熱の砂漠を何食わぬ顔で雑談しながら移動していた。博士があり合わせで作った防護服によって暑さをシャットアウトしていたのだ。一体どうやったら砂しかないような場所からそんなものを作れるのかは禍言には、いや禍言に限らずほぼ全ての人類には、理解できないが。
「なんか地面に剣でお絵かきをするの懐かしいな」
「なんだ、以前にもやったことあるのか」
「あん時は1つで地球ブッ壊す陣だったなぁ……」
「は?」
「まぁオレらは魔力ないからこうしてちっこいのでやってんだけど。そんなこんなでホイ完成」
基本的には禍言が、真円など繊細な部分は博士が担当し、ものの数分で陣は完成した。
「うし、じゃあちと面倒くせぇがこっからぴょんぴょんしてロンドン行くか」
「ま、またアレをやるのか?」
「だってワープポイント壊しちゃった、というか博士が消しちゃったし」
「1時間もあればタウが迎えにきてくれる、だから早まるな」
日本軍との戦闘跡から鹿崎市まで、禍言は博士を脇に抱えて1度で10km近く飛ぶ超長距離ジャンプで移動していた。それがトラウマになったのか、博士は禍言を止めようとしていた。
「オレならその半分の時間で行けるぜ?ってなわけでぇ〜っ、んぐっ」
「う、ん?」
しかし、博士のそれは杞憂に終わった。禍言は足に力を込め、地面を蹴り上げようとし、そしてその場に倒れ込んだ。
前回からま〜た1ヶ月近く開いてんじゃねぇかよ、なんだよ前回調子にのって2話くらい更新しておいてこの落差はよ。キャラのセリフが思いつかなかったんだよ許してよ




