The 1st sample
「おい禍言」
「……ん、なんだよ」
パトカーの中でウトウトする禍言を、博士は肘で突っつく。
「これをつけとけ」
「オレ右腕はあるけど」
博士が渡したもの、それは先程焼き肉屋で渡した義腕と瓜ふたつなデザインのものだった。
「お前が片方義腕だと敵に知られないための腕甲だ。それに、いつまでも素手で殴り続けると言うわけにもいくまい」
「……まぁ、カッコイイから許す」
「それと」
「まだあんの?」
驚き、というより半ば呆れる禍言の義腕、その左手を博士は掴み、思い切りひねった。すると、手のひらの中心に四角い穴が開いた。まるで、何かを入れてくれと言わんばかりの穴が。
「ここにこれを入れ、こうすれば……」
博士はその穴に量産型クロスインパクト、もといインパクト・シグマを入れ、腕を元に戻すと、禍言がつけた義腕と腕甲が淡い光で包まれた。
「ヨシ、問題なく作動するな」
「うぉ、なんだよこれ、おもろかっこいいじゃん」
その光景は、バックミラー越しに禍言たちを監視する警察官を驚かせるのには十分すぎた。助手席に座っていた新米警察官は見過ごせなくなったのか、後ろを振り向く。しかし、運が悪かった。否、この一連の事件に関わってしまった時から運は尽きていたのかもしれない。
「なるほどな、全体にビームを纏ってるおかげでこんな簡単に切れるのか」
瞬間、新米警察官の頭は首から離れ、博士の足元に転がる。禍言の試し切りによって殺されたのだ。運転席にいた警察官は、隣に座っていた同僚の首無し死体を見た瞬間強烈な吐き気に襲われ運転が覚束なくなった。そして、己の左半身を濡らす血の感覚により、意識を失ってしまってしまった。それはつまり、ハンドルを握る者がいなくなったわけで、何が起こるのかは言うまでもないだろう。
「おい貴様、なんでそうすぐに人を殺す!いや殺すのはいいがTPOを弁えろ!このままだと事故って死ぬぞ!」
普段感情を見せない博士が珍しく怒った。それもそうだろう、北往生市を壊滅させて外に出てきたというのに、焼き肉食べてパトカー乗ったら事故って死にました、なんて格好の悪い死に方は誰だってしたくない。
「しゃあねぇなぁ、止めりゃあいいんだろ止めりゃあ」
言うと禍言は足元を蹴り、車体を貫く。そして、その足は勢いを殺すことなく、コンクリートに突き刺さった。あまりに無茶なブレーキに、博士は前の座席に顔面を強打し鼻血をたらした。しかし、それを気にも留めない禍言は、ニヤついた顔を博士に向けた。
「へっ、これでいいだろ?」
「……まぁ、事故るよりはマシか」
「その代わり、周りのパトカーに睨まれたけど」
「フン、この程度どうとでもなる、さっさと片付けてバイクを拾いに戻るぞ」
「だな」
話を切り上げ、気分も切り替えた二人は、歪んだドアを、禍言は蹴り飛ばし、博士はインパクト・シグマで切り刻む。こうしてパトカーから抜け出した二人を迎えるのは。
「キタのサルめ、ようやく本性を現したか。……総員、構えろ」
髭面刑事の蔑む目と、26名の警察官が構える銃口だ。しかしたかが銃に怯む二人ではない。何せ、弾丸を超える拳を放つパワー馬鹿と、実弾銃ななど前時代的だとあざ笑うマッドサイエンティストだ。
「鳥の気分を味わいなッ!爆風ゥ!!」
「フン」
禍言の攻撃で、警察官たちは衝撃波を喰らった瞬間、何をされたのか理解する間もなく空を舞う。
博士の斬撃で、警察官たちはビームに体を上下に分断される感覚を味わいながら地面に崩れる。
一瞬にして、警察官は全滅した。……否、一人だけ生き残りがいた。後方にいた髭面刑事は、パトカーが盾となったおかげで、ギリギリだが生きていた。そして、死ぬ間際に最後の抵抗として、車内の無線に手に手を伸ばした。
「こちら、東野。……キタのサルが、暴れ、出した……至急、お、うえんを……。場所……は、そっちで……た、のむ」
『……了解』
「おりゃっ」
そんな軽い声と共に、禍言は髭面刑事の頭を踏み潰す。弾けた頭が撒き散らした血が禍言の足に飛び、真っ赤に染める。赤い腕甲も相まって、禍言という名に相応しい、禍々しい様相となった。
「うえ、足の裏に脳みそついた。これ水で洗えば臭いとか消えるかな?」
「焼けば消えるぞ」
博士はビームの刃をチラつかせる。それを見た禍言は眉をひそめ、でもそれが一番手っ取り早いか、と諦める。
「なんか今日は敵の攻撃喰らった訳でもねぇのに痛ぇことばっかだ」
10分後、足裏の痛みに愚痴を吐く禍言と、アメをくわえる博士。二人は今、日本軍に囲まれている。
ウマ娘の最終話を見て号泣した日に書く内容じゃない。そうそう、ウマ娘見ました?ぼくの愛バのテイオー、やってくれました。テイオーの担当はみんなあれ見て目がさながらナイアガラの滝のようになりましたよ




