勝ち逃げ
この4章だいぶ長かったッスけど次がエピローグです
「炎は手段に過ぎなかった。オレに刻まれたこの魔法陣さえあればいい。"オレのせいで死んだ"。"実質的にオレが殺した"。これが大事なんだ。前回は炎。そして今回は、さっきの槍って訳だ」
禍言ははてなには目もくれずに自慢気に話す。ふと違和感を覚え、振り返ると、そこには槍だけがあり、はてなは姿を消していた。
「ふぅん、流石は人類最強。ちと目を離した隙に消えてら。敵を殺すより人助けを優先したか。まいいや、とっとと博士拾ってズラかろうぜ」
目の前からはてなが消えていたことは想定内とでも言いたげなテンションで独り言を漏らし、博士のアジトに向かって走り出す。地面の陣を消さないよう速度は落として。
快調に飛ばしていると、禍言の鼻先を弾丸がかすめる。
「おい」
「今日はどいつもこいつも柄わりぃなぁ」
禍言が足を止め、弾丸が飛んできた右側を見ると、グラサンをかけたイヤに細長い男性が銃口を向けていた。
「どこに行くつもりだ」
「どこって、そりゃ外に決まってんだろ。バカなこと言ってんなよおっさん」
「……これ、お前がやったんだろう」
おっさんは穴の空いた自身の腹を見る。
「こんなことをしでかすヤツ、バケモノを外には出せねぇ。最強さんに代わって、俺が、てめぇを止める」
そう言うと、おっさんは引き金に指をかけ、狙いを定める。しかし禍言はデコピンでおっさんを壁に叩きつける。
「ハン、満身創痍のおっさんに、しかもそんなオモチャで何ができるよ。付き合ってらんねぇ、オレァ行くぜ」
「……残念だ」
禍言は背を向けて再び走り出す。その背中を見ながら、おっさんはどこか悲しげな表情で、最後のセリフを漏らす。
「……お前に、マトモな生活を送らせてやれなくて…………」
「よぉ博士、生きてっか?」
道中で拾った、博士から貰った金属バットを片手に、地面に寝転ぶ博士を見下ろす。
「あぁ、ギリギリ」
博士が起き上がると、槍が勢いよく空へ飛び上がり、ほぼ同時に消失する。
「この失敗作どもに二度も命を救われるとはな」
「ほーん」
地中では、先程のはてなとの戦闘でも活躍した機械の腕。正確には、博士が助手アンドロイド、"ロー"と"タウ"を生み出すまでにできた大量の腕が、槍を抑えていた。
「さて、では出発しようか、外界へ。この壁の外側へ」
「おうよ!」
「ちょーっと待ったぁーっ!」
博士が用意した二台のバイクに二人とも跨り、エンジンをふかし始めたタイミングで横槍が入る。タイミング的にも、物理的にも。
二人の後ろには、全身を黄色いタイツで包んだ少年。体を半透明にさせた少年。雷電フォームの電磁マンが槍を投げた体制で固まっていた。例によって腹に穴を開けて。
「よぉ電磁マン。ワリィがお前用のバイクはねぇんだワ」
「いらねぇよ!そんなことより、お前は悪モンなんだろ!俺を騙して利用して!!挙げ句の果てにはこの街をメチャクチャにしやがって!!!許せねぇ!お前だけは絶対に今ここで倒してやる!!」
一気にまくし立てると、禍言の心臓を狙う一撃のために構える。
「フン、雷か。ならば、えいっ!」
博士は禍言の乗るバイクを蹴り倒し、自分も床に伏せる。
「いてっ」
「人神一閃!!!」
人の目では到底負えない速度で電磁マンは突撃する。しかし、禍言にはかすりもせずに、博士のアジト、その天井にある特殊な避雷針へ吸い寄せられるように斜め上方向に飛んでいく。
「ちと乱暴すぎるぜ」
「気にするな、この程度じゃワタシ特製のこのバイクは壊れん」
「いやそっちじゃなく」
頭をさすりながらバイクと共に起き上がる禍言。その後ろでは避雷針に捕らえられた電磁マンがジタバタともがいているが、二人は気にも止めずに会話する。
「……ふざけるのもここまでにして、切り替えねぇとな」
「あぁ」
二人はバイクのエンジンをもう一度ふかし、シートに腰を下ろす。
「行くか」
「行くぞ」
ウマ娘やってます?ぼく圧倒的テイオー推しなんですけど、どの子も育成するたびにチェンソーマンのデンジみたく「この子絶対オレのこと好きじゃん」「助けてテイオー、オレこの子のこと好きになっちゃう」ってなりますね。




