間話2
ウマ娘のアニメ見ながら書く内容じゃない。
目が覚めると、世界は赤に染まっていた。目に見えるもの全てが燃え、自分だけが無事だった。正確には、胸を貫く三本螺旋の剣も燃えていないが。
「引っこ抜いたらやばそうだな」
抜いたらそこから血が溢れそうだからそのままにしておいた。なんで自分が生きているのかは不思議だが、おそらく心臓や大事な血管には運よく刺さらなかったのだろう。それにしたって肺には刺さると思うのだが。
ともかく、そんな横から見たら十字架のような状態でしばらく歩いていると、『木目丘市にようこそ!』の看板を見つけた。どうやらここは木目丘市のようだ。どこも見慣れない景色だったし何より全て炎上していたからどこなのか全く分からなかったが、この看板があるということは、ここは木目丘駅と見て間違いないだろう。
どこまでこの炎が続いているか考えながら歩いていたら、何かに足を引っ掛け、背中から転んでしまった。背中から転ぶということはつまり。
「いっ、たくな……い?」
刺さっていた剣が胸を抉りながら抜けたというわけで。しかし、痛みも、血もなかった。恐らくは炎で散々あぶられた剣の刃が傷口を焼いたのだろう。
血も痛みもなかったが、しかしそれ以外のものが溢れた。
せんめぇななんだよここ1つ分のひだまりに3つはちょっと入れねぇぜ。
ん?
自分は、まぁどうだっていいけど。
ん???
自分の意識の他に、2つの意識が存在していた。
他なんて悲しいこと言うなよ自分は自分、お前は……1人称どうするか、オレでいいや。うん、まぁそう、オレはお前で〜、お前はオレで〜、ってやつ。
いわゆる多重人格、ってやつですか。
多分。
どうやら、凶暴な自分と、面倒くさがりな自分ができたようだ。区別をつけるために、凶暴なオレは禍言。面倒くさがりなぼくは無言。そして元からいた、否、正確には元の自分に最も近しい私は虚言。1人称と名前を決めた。
一応確認すんぜ。オレはオレの望みの為に受肉したい。お前らは?
私は人類を滅ぼしたいです。
ぼくも、受肉。
なら、目的は一人を除き一致っちゅーことで。次は手段だ。とはいえオレは人類全てを吸収して受肉するつもりだし、そこは虚言、お前と同意見だ。
ほっ。
ほっ、じゃねぇよ。
ともかく、能力者の魂2人作るのにどれくらい必要だったのかは分かりませんが、この惨状から察するに、木目丘の人口13万人は確実に消費しているでしょう。魂でそれだけ必要となるのなら、肉体は更に、人類全てくらいは必要となるでしょうね。
おい……虚言か。虚言、思い出せよ、"魔法使い"の言葉。
無言でしたっけ。あの人なんか言ってました?
確か、ある程度の量を吸収できたら、平行世界に脱出するって。
……ってこたぁここぁ別の?
多分。だからあっちで何人殺したのか、何人分の魂を吸収したのか、サッパリ。
とーもーかーく、私も、どれだけ必要となろうと、全人類なら受肉できるでしょう。
うん、そこは、ぼくも同じ。
流石は同一人物、性格は違えど意見は同じ、と。
では、私は人類絶滅のために。
ぼくと。
オレは受肉のために。
「もう一度、世界を滅ぼしましょう」
こうして、私は、オレは、ぼくは、炎上死街から、世界を滅ぼす旅を始めた。
まぁすぐに変なおっさんに見つかって大往生市にとらわれる羽目になったけど。
イカれた少年と"魔法使い"のせいで人は滅び、地球が一つ壊れました。人類を滅ぼした少年はもう一回やりたいそうです。




