遅れてやってくるやつが本日の主役
面倒ではあるけどこの男にするか。まぁ、足を片方もらうだけだし、すぐ終わるか。確か布団の下にちょうどいいのが……あった。いつからあったのか分からないけど、大きなハサミ。これで切ればいいか。
「使いづらいな、これ」
意外と重くて、持ち上げるのにも一苦労したが、まぁどうだっていい。これをこうして足に乗せてから開いて。
「バチン」
結構簡単に切れた。骨もきれいに切れている。まぁどうだっていいけど。
やっぱり男は動かない。どうなってるんだろう、死んでるのかな、意識失ってるだけなのかな。まぁ、別にどうだっていいか。さっさと革剥いで骨抜いて血を抜いて、過程を考えるだけで面倒になってきた。
あれこれしてたらもうすぐ日が暮れそうだ、飯を食べようとしてからかなり時間が経ってしまった。でももう少しで食事ができるし、どうだっていいだろう。
いつものように焼くか。ついでに焼いてる間に残った部分はいつもの場所に捨てておこう。
「ここも、ずいぶんゴミが溜まっちゃったな」
あと何回かはここでいいけど、その次からはまた別の場所にしないとだな。ぼくは別にどうだっていいけどアイツらがうるさいからな。
帰ってくると、ちょうどいい焼け具合だった。味は……やっぱり、いつもと同じ、ただの焼いた肉の味。美味しいとか不味いとか、分からないな。まぁ別に、どうだっていいけど。
もう飯も食べたし、何もすることがないけど、眠くもないな。どうするか。
「しっ死ねぇぇぇぇぇっっ!!!」
鈍い音が、聞こえた気がした。
「ん、頭、痛いな」
「なんであそこまで殴られて起きられるんだよ」
「こいつの特異性は目だけなんじゃないのか?」
「いや、目ではなくこいつの存在自体が特異なのだろう、それにしてもこの回復力はこいつの特異性とは乖離しているのだが」
「どういうことだ」
「こいつは存在自体が毒、存在しているだけで周りの正気を奪い、生気を奪い、廃人にする。まさに存在毒というべきものだ。しかし生気を奪うにはその存在を認識しなければならないのだろう。だからこうして専用のゴーグルを作って渡したのだ」
「いやに詳しいな」
「ずっと観察していたからな」
「……お前、一体何人を見殺しにしてきた?」
「さぁな、少なくともこいつの築いた死体山が今の半分の高さのときから観察していたな」
「貴様ァァッ!」
「落ち着け、お前たちは今こいつの毒のせいで正気を失っているんだ。一度煙草でも吸ってこい、少しは毒も抜けるだろう。連れて行ってやれ」
「はい」
3人いた男の1人が後ろにいたスーツ男と一緒に部屋を出た。人が少なくなったのは、まぁいいこと、か。
何やらぼくのことを研究しているようだけど、どうだっていいな。
どうせこのままいたらあいつらが出て来るだろうし、だったらさっさと出てきてもらうか。
「あいつらもめんどくさがりなんだな。まぁ、似た者同士っていうことか」
似た者というか、そのものなんだけど。
「なっ、お前にこの拘束を抜けられるほどの力はないはずだ!そうなんだろう木本!?」
「あぁ、さっきだって大きいハサミすらも持ち上げるのに苦労していたんだ」
「一体どうなっている!?」
「力を、ちょっと借りただけだよ」
今はあのハサミを持っていないけど、この力ならなくても大丈夫か。
「バチン」
「木本ォォォ!!」
うん、切れた。手が血まみれになっちゃったけど、まぁどうだっていいか。
「"ヒーロー"を呼べ!!」
「し、しかし、後でどんなことを要求されるか」
「いいから呼べ!!!」
「はっはい!」
「呼ばれなくても俺はいるぜ。事件が起きてからじゃないと動けないのがヒーローだが、事件がありゃすぐ動けるのもまたヒーローってやつなのさ」
バチバチバチ、と電気を纏った覆面全身タイツが、いつの間にか扉によりかかっていた。
「俺はヒーロー、電磁マン!!悪魔なお前は俺が倒す!!!」
電磁マンの名前はエレクトロだとかケラウノスだとかと色々候補があったんですけど、あえて一番ダサいやつにしました




