表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦えない俺、ダンジョンで“休憩所”を作っただけなのに最強探索者たちが通い詰めて世界の拠点になってしまった  作者: ローナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/34

入れば負けなのに――最強格が自ら“安全地帯”に踏み込み、支配された瞬間

——ドンッ!!


境界のすぐ外で、爆発が弾けた。


「……しつこいな」


タンクの男が吐き捨てる。


煙の向こう。

さっきの三人組が、まだこちらを睨んでいた。


「……入れないなら壊す、か」


セリスが剣を肩に担ぐ。


「発想は嫌いじゃない」


「……壊れないけどな」


俺は、淡々と言った。


この空間は“拒否”している。

許可していないものは、触れることすらできない。


「……だが」


外の男が、ゆっくりと口を開いた。


「……いつまでも、このままじゃないだろ?」


その言葉に。


一瞬だけ、全員の動きが止まる。


「……どういう意味だ」


タンクが睨む。


男は、ニヤリと笑った。


「簡単だ」


剣を軽く振る。


「お前ら、“外に出る瞬間”がある」


「……っ」


ミアが、息を呑む。


「その時を狙う」


「……そういうことか」


セリスが、低く言う。


「ずっと中にいられるわけじゃない」


「補給も、偵察も必要になる」


男は、肩をすくめる。


「そこを叩く」


理屈は正しい。


完全な籠城なんて、成立しない。


「……なら」


俺は、一歩前に出た。


「……外に出なければいい」


「……は?」


「ここで全部完結させる」


沈黙。


「……それ、できるのか?」


タンクが眉をひそめる。


「……やる」


俺は言い切った。


その瞬間。


足元の紋様が、わずかに光る。


「……またか」


セリスが、興味深そうに見る。


「何か増えるな」


「……多分な」


俺は、境界の外を見た。


「……呼ぶ」


「……え?」


ミアが振り返る。


「何を……?」


「……人を」


その言葉に。


全員が固まった。


「……おいおい」


タンクが苦笑する。


「ここ、呼び込み装置になってきてねぇか?」


「……そうなるな」


俺は、あっさり認めた。


「……やばすぎだろ」


誰かが呟く。


だが——


「……それでいい」


俺は、静かに言った。


「来たい奴だけ来る」


「……そして?」


セリスが、目を細める。


「……選ぶ」


その一言で。


空気が、張り詰めた。


その時だった。


——ドクン


空間が、大きく脈打つ。


「……来るぞ」


ミアが震える。


闇の奥。


ゆっくりと、影が一つ。


「……あいつか」


セリスが、低く呟いた。


黒いコートの男。


さっき“奪いに来る”と言ったやつ。


「……来たな」


タンクが構える。


だが。


男は、止まらなかった。


そのまま、真っ直ぐに歩いてくる。


「……おい」


タンクが眉をひそめる。


「止まらねぇぞ」


「……ああ」


俺も、気づいていた。


「……あいつ」


“分かってる”。


この空間の仕組みを。


境界の前で、男が止まる。


「……さて」


ゆっくりと、こちらを見る。


「改めて聞く」


「……入れてくれ」


その声は、軽い。


だが。


完全に計算されている。


「……断る」


俺は、即答した。


「……だろうな」


男は、あっさり頷いた。


「じゃあ——」


一歩、前に出る。


「……入る」


その瞬間。


空気が凍った。


「……は?」


タンクが声を上げる。


「……おい、それ」


「やめろ!」


セリスが叫ぶ。


だが——


男は、止まらない。


境界に触れる。


——パチン


弾かれる。


「……やっぱりな」


男は、笑った。


そして——


「……条件付き、だろ?」


俺を見る。


「……そうだ」


「なら、受ける」


「……なに?」


「契約」


男は、静かに言った。


「守る。従う。戦う」


一つずつ、言葉を置く。


「全部やる」


沈黙。


「……お前」


セリスが、目を細める。


「……正気?」


「正気だよ」


男は、笑う。


「……外で消耗して奪うより」


「中に入って掌握した方が早い」


全員が、息を呑む。


「……なるほどな」


タンクが、低く言う。


「中から乗っ取る気か」


「……そういうことだ」


男は、隠さない。


「……で?」


俺を見る。


「入れるか?」


沈黙。


「……カナメ」


ミアが、小さく言う。


「……危険です」


「……分かってる」


俺は、男を見る。


“合ってる”。


この空間に。


そして——


“危険すぎる”。


「……」


少しだけ、考えて。


「……入れる」


そう言った。


「……は?」


全員が、固まる。


「……マジかよ」


タンクが呟く。


「……いいのか」


セリスが、低く言う。


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……条件付きだ」


男が、笑う。


「当然だ」


その瞬間。


空間が、強く反応した。


——ドクンッ


紋様が、激しく光る。


「……来るぞ」


ミアが震える。


「……契約、強い……!」


男の足元に、紋様が浮かぶ。


「……へぇ」


男は、興味深そうに見る。


「これが——」


——ピタリ


動きが止まる。


「……っ」


一瞬だけ。


男の表情が、歪んだ。


「……拘束、か」


「……そうだ」


俺は、静かに言う。


「ここでは、逆らえない」


沈黙。


「……はは」


男が、笑った。


だが、その笑いは——


ほんの少しだけ、震えていた。


「……面白い」


ゆっくりと、顔を上げる。


「……想像以上だ」


その目にあったのは。


“完全な理解”。


「……負けたな」


ぽつりと、呟く。


「……は?」


タンクが、声を上げる。


「……今ので、終わりだ」


男は、肩をすくめる。


「俺は、ここに縛られた」


「……」


誰も、何も言えない。


「……外から壊すより」


男は、周囲を見る。


「中に入った方が早いと思った」


「……でも」


自分の手を見る。


「……これは、想定外だ」


完全拘束。


「……逆に支配される、か」


小さく笑う。


「……やられた」


その瞬間。


全員が理解した。


「……これ」


ミアが、震える声で言う。


「……最強クラスでも、例外じゃない……」


「……ああ」


俺は、静かに頷く。


「……ここでは」


「……全員、同じだ」


セリスが、笑った。


「……いいね」


「完全に“王”だ」


「……違う」


俺は、首を振る。


「……ただの管理だ」


でも。


誰も、信じていない。


その時だった。


——ゴゴゴ…


ダンジョン全体が、揺れた。


「……なんだ?」


タンクが構える。


ミアが、顔を青くする。


「……これ……」


「……反応してる」


「……何に?」


「……“増えすぎ”です」


沈黙。


「……は?」


「……空間が」


ミアが、震える声で言う。


「……耐えきれてない……」


全員が、凍る。


「……嘘だろ」


タンクが呟く。


「……またかよ」


「……いや」


俺は、床を見る。


ひびじゃない。


「……違う」


「……拡張してる」


「……は?」


セリスが、目を細める。


紋様が、広がっている。


「……容量、増えてる……?」


ミアが、呆然と呟く。


「……なんで……」


俺は、男を見る。


「……契約、だな」


「……ああ」


男が、笑う。


「強いやつほど、影響がでかい」


「……なるほど」


タンクが、低く言う。


「強いの囲えば、拡張するってか」


「……そうなる」


俺は、静かに言った。


その瞬間。


全員の表情が、変わった。


「……つまり」


セリスが、笑う。


「……もっと集めればいい?」


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……強いやつを」


その時。


外の三人が、後ずさった。


「……おい」


「……なんだよあれ」


完全に、空気が変わっている。


「……やばいな」


タンクが、苦笑する。


「……敵が、餌に見えてきた」


「……違う」


俺は、静かに言った。


「……資源だ」


その言葉に。


全員が、黙った。


——ここはもう。


逃げ場じゃない。


「……集める場所だ」


そして。


「……縛る場所だ」


外の連中が、後退する。


「……撤退だ!」


誰かが叫ぶ。


だが——


俺は、境界の外を見ながら呟いた。


「……逃がさない」


その瞬間。


空間が、脈打つ。


——ドクン


「……え?」


ミアが、振り返る。


「……これ……」


「……届く」


俺は、ゆっくりと言った。


「……外にも」


沈黙。


「……おい」


タンクが、低く言う。


「……それって」


俺は、小さく笑った。


「……狩りの時間だ」


その瞬間。


全員の背筋が、凍った。


——支配は、外へ広がる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ