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戦えない俺、ダンジョンで“休憩所”を作っただけなのに最強探索者たちが通い詰めて世界の拠点になってしまった  作者: ローナ


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18/34

誰に依存するかで生死が決まる――楽園は“派閥戦争”を始めた

——空気が、変わった。


さっきまでの恐怖とは違う。


もっと生々しい。


もっと、人間的な——


「……視線が、痛いな」


セリスが、笑う。


「……全員、値踏みしてる」


その通りだった。


誰が強いか。


誰に付くべきか。


誰が“消える側”か。


「……やめてよ……」


ミアが、小さく呟く。


「……そんな目で見ないで……」


だが。


止まらない。


「……カナメ」


タンクが、低く言う。


「……これ、やばいぞ」


「ああ」


俺は、頷いた。


「……もう始まってる」


その時だった。


「——俺はセリスにつく」


一人の男が、前に出る。


迷いはない。


「……賢い選択だな」


セリスが、笑う。


「……分かってるじゃないか」


「……強い方につくのは当然だ」


男は、頷く。


「……生きたいからな」


沈黙。


その瞬間。


——ザワッ


周囲が、動いた。


「……なら俺も」


「……私もセリス側」


「……いや、待て」


別の声。


「……カナメにつくべきだろ」


静寂。


全員の視線が——


俺に向く。


「……そりゃそうだ」


誰かが言う。


「……こいつが決めてるんだからな」


「……じゃあ俺はカナメだ」


「……私も……」


空気が、一気に傾く。


「……おいおい」


タンクが苦笑する。


「……完全に人気投票じゃねぇか」


「……違う」


俺は、静かに言った。


「……これは“依存”だ」


沈黙。


「……カナメ……」


ミアが、不安そうに言う。


「……どうなるの……?」


答える前に——


起きた。


「——ふざけるな!!」


怒号。


さっきセリスについた男が、叫ぶ。


「……なんでそっちに集まる!!」


「……決まってるだろ」


別の男が、笑う。


「……安全だからだよ」


「……くそ……!」


男が、歯を食いしばる。


「……なら……」


その目が、歪む。


「……減らす」


沈黙。


「……は?」


タンクが振り向く。


次の瞬間——


男が、別の人間に殴りかかった。


——ドンッ!!


「……っ!」


倒れる。


「……やめろ!!」


「……関係ないだろ!!」


だが——


止まらない。


「……減ればいいんだよ!!」


男が叫ぶ。


「……そうすれば選ばれる!!」


静寂。


そして——


連鎖した。


「……ああ……」


誰かが、呟く。


「……そうか……」


理解してしまった。


「……多すぎるんだ」


——ドンッ!!


別の場所で、衝突。


「……おい!!」


「……やめろって!!」


「……どけよ!!」


混乱。


暴力。


叫び。


「……始まったな」


セリスが、楽しそうに言う。


「……“派閥戦争”」


「……違う」


俺は、首を振る。


「……ただの崩壊だ」


沈黙。


「……カナメ!!」


ミアが、叫ぶ。


「……止めて!!」


「……無理だ」


俺は、即答した。


「……もう止まらない」


静寂。


「……じゃあどうするの!?」


「……決める」


一言。


「……何を……?」


「……依存先だ」


沈黙。


その瞬間。


俺は、手をかざした。


——ドクンッ!!


空間が、強く脈打つ。


「……っ!?」


全員が、動きを止める。


「……なにした……?」


タンクが、低く言う。


「……固定した」


俺は、静かに言った。


「……は?」


その時。


“それ”が、告げる。


「——依存先、強制割当」


静寂。


「——各個体に最適対象を設定」


沈黙。


「……なんだそれ……」


「——変更不可」


その一言で。


空気が、凍った。


「……嘘だろ……?」


「……勝手に決められた……?」


「……誰に……?」


ざわめき。


そして——


「……は?」


タンクが、目を見開く。


「……俺……カナメじゃねぇのか?」


「……違うな」


セリスが、笑う。


「……お前は私だ」


「……なんでだよ!!」


「……知らない」


セリスは肩をすくめる。


「……でも決まった」


沈黙。


「……カナメ……」


ミアが、不安そうに言う。


「……私は……?」


俺は、少しだけ間を置いて——


「……俺だ」


ミアの顔が、わずかに緩む。


「……よかった……」


だが。


それで終わらなかった。


「……おい……」


誰かが、震える声で言う。


「……俺……」


全員が、そいつを見る。


「……“対象なし”って出てる……」


静寂。


「……は?」


「……どういうことだよ……」


“それ”が、答える。


「——依存不適合」


沈黙。


「——対象外」


一瞬。


空気が、止まった。


「……待て」


男が、後ずさる。


「……それって……」


「——存在不要」


その瞬間。


——パチン


消えた。


完全に。


静寂。


「……やばすぎるだろ……」


タンクが、呟く。


「……適合しないと消えるのかよ……」


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……ここはもう」


一言。


「……“世界の基準”になった」


沈黙。


「……つまり……」


セリスが、笑う。


「……外もいずれそうなる?」


「……ああ」


俺は、静かに言った。


その目が、細くなる。


「……次は」


一言。


「……“上書き”だ」


空間が、静かに広がる。


——次は、“世界を書き換える”。

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