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戦えない俺、ダンジョンで“休憩所”を作っただけなのに最強探索者たちが通い詰めて世界の拠点になってしまった  作者: ローナ


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14/34

侵攻軍、到達――だが一歩も入れないまま壊れた

——来た。


それは、音で分かる。


「……多すぎだろ」


タンクが、低く呟く。


遠くから響く、規則的な足音。


重い。


途切れない。


「……軍だな」


セリスが、淡々と言う。


「……しかも、かなりの規模」


「……見える……」


ミアが、震える声で言った。


ダンジョンの奥。


暗闇の向こうに——


光。


松明の列。


無数の影。


「……あれ全部、人間かよ……」


タンクが、息を吐く。


「……ああ」


俺は、静かに答えた。


「……“奪いに来た側”だ」


沈黙。


その数——


数百ではきかない。


「……どうする?」


タンクが、俺を見る。


「……戦うのか?」


「……いや」


俺は、首を振る。


「……戦わない」


「……だろうな」


セリスが、笑う。


「……その代わり?」


「……選ぶ」


沈黙。


その時だった。


——ザッ


侵攻軍の先頭が、視界に入る。


鎧。


武装。


明らかに、訓練された動き。


「……止まったな」


タンクが言う。


先頭の男が、一歩前に出る。


「……ここか」


低い声。


威圧感がある。


「……随分と妙な場所だ」


境界の前で、立ち止まる。


「……確認する」


男が、声を張る。


「……この領域の管理者は誰だ」


沈黙。


「……俺だ」


俺は、普通に答えた。


全員の視線が、俺に集まる。


「……お前か」


男が、じっと見る。


「……随分と弱そうだな」


「……よく言われる」


俺は、肩をすくめた。


周囲に、ざわめき。


「……だが」


男が、続ける。


「……ここは国家指定の“重要拠点”に認定された」


空気が、変わる。


「……よって」


一歩、前に出る。


「……管理権は我々が引き継ぐ」


沈黙。


「……は?」


タンクが、笑う。


「……おいおい」


「……ずいぶん簡単に言うな」


「……当然だ」


男は、迷わない。


「……個人が管理できる規模ではない」


「……だから奪う、か」


セリスが、笑う。


「……違う」


男は、首を振る。


「……正当な引き継ぎだ」


沈黙。


「……拒否する」


俺は、即答した。


静寂。


「……理由は?」


男が、聞く。


「……気に入らない」


一言。


その瞬間。


空気が、凍った。


「……それだけか?」


「……ああ」


俺は、頷く。


「……ここは、俺が決める」


沈黙。


男が、ゆっくりと息を吐く。


「……では」


手を上げる。


「……強制執行だ」


その瞬間。


——ザッ!!


後方の兵が、一斉に前に出る。


「……来るぞ」


タンクが構える。


「……いや」


俺は、動かない。


「……来ない」


次の瞬間。


先頭の兵が、境界に足を踏み入れた。


——パチン


弾かれる。


「……っ!?」


兵が、よろめく。


「……何だこれは!?」


「……結界か!?」


ざわめきが広がる。


「……押し通れ!」


男が命令する。


——ドドドドッ!!


複数の兵が、一斉に突っ込む。


だが——


——パチン、パチン、パチン


全員、弾かれる。


「……は?」


「……入れない……?」


混乱。


「……無理だ」


俺は、静かに言った。


「……許可してない」


沈黙。


「……ならば」


男が、目を細める。


「……許可しろ」


「……条件次第だ」


俺は、淡々と返す。


空気が、張り詰める。


「……言え」


「……簡単だ」


俺は、一歩前に出る。


「……武装解除」


沈黙。


「……は?」


「……ここでは戦闘禁止だ」


「……ふざけるな」


男が、低く言う。


「……それでは意味がない」


「……なら帰れ」


即答。


静寂。


その時だった。


「……っ!」


一人の兵が、膝をついた。


「……おい?」


仲間が驚く。


「……息が……」


呼吸が乱れる。


「……苦しい……」


沈黙。


「……始まったな」


セリスが、小さく言う。


「……外との差」


その通りだ。


「……ここに入れないやつは」


俺は、静かに言った。


「……維持できない」


「……まさか……」


男が、顔をしかめる。


その瞬間。


——ドサッ


一人、倒れた。


「……おい!!」


「……しっかりしろ!!」


混乱。


だが——


止まらない。


「……なんでだ……!」


「……回復が……!」


ポーションを使う。


だが効かない。


「……効かない……!?」


沈黙。


「……言っただろ」


俺は、淡々と告げる。


「……外は地獄だ」


その言葉が——


現実として突きつけられる。


「……撤退しろ!!」


誰かが叫ぶ。


「……持たない!!」


だが。


遅い。


「……くそ……!」


男が、歯を食いしばる。


その時だった。


「……カナメ」


ミアが、小さく言う。


「……これ……」


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……見せたかった」


沈黙。


「……理解したか?」


俺は、男を見る。


「……ここが何か」


静寂。


男は、震えていた。


「……条件を飲め」


俺は、静かに言う。


「……そうすれば入れる」


沈黙。


長い、沈黙。


そして——


「……武装解除」


男が、呟いた。


「……全員、武装を捨てろ」


静寂。


「……隊長!?」


「……正気ですか!?」


「……従え」


低い声。


絶対的な命令。


——ガシャン


武器が、落ちる。


鎧が、外される。


「……これでいいか」


男が、言う。


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……入れ」


その瞬間。


——スッ


男が、境界を越える。


何も起きない。


「……入れた……」


誰かが呟く。


「……他は?」


俺が、周囲を見る。


兵たちは——


迷っていた。


「……どうする……?」


「……武器なしで……?」


「……でも……」


その目にあるのは——


恐怖と、依存。


「……入る」


一人が、武器を捨てる。


「……俺は生きたい」


その言葉で——


連鎖した。


——ガシャン、ガシャン


次々と、武器が捨てられる。


「……やばいな」


タンクが、苦笑する。


「……戦わずに勝ったぞ」


「……違う」


俺は、首を振る。


「……選ばせただけだ」


沈黙。


その時。


空間が、強く脈打つ。


——ドクンッ!!


「……またか!?」


ミアが叫ぶ。


「……今度はなんだ!?」


「……新しい依存だ」


俺は、静かに言った。


「……“服従”」


沈黙。


「……ここに入るために」


セリスが、笑う。


「……全部捨てるようになった」


「……ああ」


俺は、頷いた。


その時。


“それ”が、静かに言った。


「——警告」


空気が、凍る。


「……まだあるのかよ」


タンクが顔をしかめる。


「——内部」


「——変化あり」


沈黙。


「……何だ」


「——依存過多」


静寂。


「——臨界到達」


その一言で。


全員の顔が、変わった。


「……は?」


「——崩壊、発生予測」


沈黙。


俺は、小さく笑った。


「……いいよ」


全員が、こちらを見る。


「……次は」


その目が、細くなる。


「……中を壊す」


空間が、静かに震えた。


——次は、“依存の暴走”。

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