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戦えない俺、ダンジョンで“休憩所”を作っただけなのに最強探索者たちが通い詰めて世界の拠点になってしまった  作者: ローナ


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国家が頭を下げた――“安全地帯”に入るため、世界最上位機関が服従を選んだ

——異様だった。


「……なんだ、あれ」


タンクが、低く呟く。


ダンジョンの奥。


暗闇の向こうに、整列する影。


「……軍隊か?」


セリスが、目を細める。


「……違う」


俺は、すぐに分かった。


「あれは……もっと上だ」


一糸乱れぬ動き。


無駄のない配置。


「……統制が違う」


ミアが、息を呑む。


「……あれ……国家レベルです……」


沈黙。


「……は?」


タンクが固まる。


「……なんでそんなのが来るんだよ」


「……決まってる」


俺は、静かに言った。


「……バレた」


何が?


「……ここが、“世界の中心”になるって」


その瞬間。


全員の空気が変わった。


「……冗談じゃねぇな」


タンクが、苦笑する。


「……いや」


セリスが、小さく笑う。


「……むしろ遅いくらいだ」


その時だった。


——ザッ


影の中から、一人が前に出る。


黒い外套。


無駄のない動き。


「……代表か」


タンクが呟く。


男は、境界の前で止まる。


そして——


膝をついた。


「……は?」


タンクが声を上げる。


「……おいおい」


セリスが、目を細める。


「……これは予想外だ」


男は、頭を下げたまま言う。


「……我々は、“外”を管理する側の者だ」


「……名前は?」


俺が聞く。


「……不要だ」


男は、即答した。


「……個人ではなく、“組織”として来ている」


沈黙。


「……要件は一つ」


顔を上げる。


その目は、真剣そのものだった。


「……ここに、入れてほしい」


静寂。


「……は?」


タンクが、思わず声を漏らす。


「……マジかよ」


セリスが、笑う。


「……国家が依存しに来た」


その通りだ。


「……理由は?」


俺は、淡々と聞く。


「……外は、もう限界だ」


男は、迷いなく答える。


「……回復が追いつかない」


「……人材が減り続けている」


「……維持できない」


沈黙。


「……だが」


男は、こちらを見る。


「……ここは違う」


一歩、近づく。


「……完全回復」


「……完全防御」


「……そして——」


言葉を切る。


「……選別」


空気が、張り詰める。


「……我々は、それを“管理”したい」


その言葉に。


セリスが、笑った。


「……ほら来た」


「……何がだ」


タンクが聞く。


「……支配の奪い合いだよ」


その通りだった。


「……つまり」


俺は、静かに言う。


「……乗っ取りに来た?」


「……違う」


男は、首を振る。


「……共存だ」


「……信用できないな」


タンクが吐き捨てる。


「……当然だ」


男は、あっさり認める。


「……だから」


ゆっくりと。


「……条件を提示してほしい」


沈黙。


「……は?」


「……従う」


その一言で。


空気が凍る。


「……おいおい」


タンクが、笑う。


「……国家が従うってか?」


「……ああ」


男は、迷わない。


「……ここに入るためなら」


「……どんな条件でも受ける」


静寂。


ミアが、小さく呟く。


「……これ……」


「……完全に……」


「……依存してる……」


「……ああ」


俺は、頷いた。


その時だった。


「……カナメ」


セリスが、低く言う。


「……どうする?」


沈黙。


俺は、男を見る。


「……一つ聞く」


「……なんだ」


「……入ったら、何をする?」


男は、一瞬だけ考え——


「……増やす」


「……何を?」


「……依存者を」


その瞬間。


全員が、凍った。


「……外の人間を」


男は、淡々と続ける。


「……選別し、ここに集める」


「……管理する」


「……そして」


「……維持する」


沈黙。


「……なるほどな」


セリスが、笑う。


「……完全に同じ発想だ」


「……ああ」


俺は、頷いた。


そして——


決めた。


「……いい」


「……は?」


タンクが振り向く。


「……マジかよ」


「……ただし」


俺は、男を見る。


「……条件がある」


「……言え」


男は、即答した。


「……まず一つ」


ゆっくりと言う。


「……“出禁権”は、俺にある」


沈黙。


「……当然だ」


男は、頷く。


「……二つ目」


「……内部での戦闘は禁止」


「……従う」


「……三つ目」


一瞬、間を置く。


「……外の人間を、“勝手に入れるな”」


空気が、張り詰める。


「……選別は、俺がやる」


沈黙。


男が、目を細める。


「……つまり」


「……支配権は渡さない、か」


「……ああ」


俺は、頷いた。


その瞬間。


男は——


深く、頭を下げた。


「……受け入れる」


静寂。


「……マジかよ……」


タンクが呟く。


「……完全に……」


「……服従した……」


「……ああ」


俺は、静かに言った。


その瞬間。


——ドクンッ!!


空間が、今までで最大に脈打つ。


「……っ!?」


ミアが叫ぶ。


「……何これ……!」


紋様が、一気に広がる。


「……でかすぎる……!」


タンクが驚く。


「……国家規模の契約……」


セリスが、笑う。


「……一気に来たね」


俺は、目を閉じて——


「……分かる」


「……何がだ」


「……外だ」


ゆっくりと、言う。


「……都市レベルで、繋がった」


沈黙。


「……は?」


「……もうダンジョンじゃない」


俺は、静かに言った。


「……外の世界と直結した」


その瞬間。


全員の顔が、変わる。


「……つまり」


タンクが、低く言う。


「……街も、選別される?」


「……ああ」


俺は、頷いた。


「……ここに適応できるかどうかで」


沈黙。


「……やばすぎるだろ」


誰かが呟く。


その通りだ。


その時。


男が、静かに言った。


「……始まるな」


「……何がだ」


タンクが聞く。


「……“世界の再編”だ」


静寂。


「……ここを中心に」


男は、続ける。


「……人間は、選ばれる」


その言葉に。


誰も、笑わなかった。


——もう止まらないと、分かったからだ。


その時。


空間の奥で——


新しい気配が、現れた。


「……っ」


セリスが、目を細める。


「……また来た」


「……今度はなんだ」


タンクが構える。


俺は、静かに言った。


「……違う」


「……これは」


ゆっくりと、目を細める。


「……人じゃない」


沈黙。


「……は?」


「……“世界そのもの”だ」


その瞬間。


全員の背筋が、凍った。


——次に来るのは、“人間じゃない存在”。

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