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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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そう言えば涼太さんと一緒にダンジョン攻略している時に、涼太さんは色んな機材をダンジョン内に持ち込んでいた事もあったけれど、あれってそのままダンジョン内に放置していたらどうなったんだろう?


ふとそんな疑問が湧き早速黒猫に聞いてみると、空間が消滅しない限りは保存可能だと返事が来た。


消滅したらそれって何処へ行ってしまうのだと言う疑問は脇に置いておいて、それって使いようによっては時間経過アリだけどまんまアイテムボックスだよなと考えていた。


って事は、部屋の荷物をダンジョン内に運び込んで、出入り口の設置を使って出入り口を移動させれば、引っ越し屋の手を借りずに引っ越しを完了させられたって事だ。

裕は上手い事を考えついたと思ったが、実際の所引っ越しの手配は既に終わっていて、裕の北海道出張の間に済む予定になっている。


そしてダンジョンを攻略を始めた当初、現金を隠すのに必死になっていたけれど、この空間に隠しておけば良かったんじゃないかと今さらながらに思い付き、自分の頭の悪さをつくづく呪った。


しかしそんな事よりも、このアイテムボックス(仮)をうまく使ったら金や危ない薬などの密輸も簡単にできるのかと、昨夜税関を特集したテレビ番組を見ていたせいで何となく考えていた。


(でも捕まったら、確かかなりの刑が科せられるって言ってたよな。もしそんな危ない事をする奴らに今思いついたこの空間の活用法を知られたら、いったいどんな事になるんだ?)


裕は反社会的勢力に奴隷の様に拘束される姿や、その結果終身刑や死刑といった刑に服する姿を想像し、自分で考えておいて身震いした。

犯罪は絶対に良くない、国によっては本当に死刑が当たり前の国もある、自分の一生を台無しにするリスクを抱えてまでやる事じゃ無いと頭を振った。


まあ、反社会的勢力に知られなくても大っぴらに人前では使えないし、現代社会を普通に生きている分にはそんなに欲しい能力でも無いだろうと、結局折角思い付いたアイテムボックス(仮)だけれど、やっぱり現状有効的な活用方法を裕には思い付かなかった。


そしてそんな事を考えている暇はないと現実に戻り、明日からの北海道出張に向けて荷物を纏めると、他の荷物は引っ越し用の段ボールに纏め、ダンジョンの隠蔽結界をすべて剥がし、黒猫のダンジョンと九尾のダンジョンの出入り口を葵さんのマンションに設置し直した。


それから課長に空間を2つ提供すると連絡したら、既に出入り口の設置場所は決まっていた様で、裕はその場所に案内して貰い聖女様ダンジョンとエルフダンジョンと別れを果たした。


思っていたよりは精神的なダメージは無かったが喪失感は拭えず、失恋したというよりは宝物を失った様な気持ちに近いものを感じていた。


実際大事にしていた宝物を譲ったのだけれど・・・

どうしても会いたくなったら会えはすると思うけど・・・・・


裕は後ろ髪を引かれる思いで時間を確認すると、夜も少し遅い時間になっていたがどうにも気になって、葵さんのマンションに設置したダンジョン出入口に隠蔽結界を張りに行く事にした。


裕の部屋に入ると黒猫がダンジョンから出ていて、何も無い部屋の中を動き回っていた。


「何やってる・・・しているのですか?」裕が思わず声を掛けると≪ここの賑やかさ嫌いじゃないわ≫と返って来た。


確かにこのマンションが建つ場所は幹線道路に近い事もあり、耳をすませば人間の生活音だけでなく道路を行き交う車の音も聞こえてくる。


裕はもしかしたら黒猫はずっとダンジョンから出たがっていたのかと考えていた。


≪そうよ、あなたが結界なんて張るから出入りができなくなったのよ≫


裕の隠蔽結界は管理者の出入りも防いでしまっていた様だった。


「それは悪い事をしました、でもダンジョンを守るためには仕方が無かったのですよ」


≪隠蔽だけにすれば良いじゃないの≫


「えっ?だって隠蔽結界って能力ですから」


≪隠蔽と結界とその気になれば別にできる筈だわ≫


「それって、僕がそう念じればって事ですか?」


≪そうよ、試しにやってみて≫


裕は黒猫に急かされる様にして、黒猫のダンジョン出入口に(隠蔽)とだけ強く念じてみた。


すると隠蔽結界と同様に何かが張られた気配があり、裕が黒猫に軽く頷いて合図をすると、黒猫はなんて事もなくダンジョンへと入って行った。


どうやら隠蔽だけをかける事に成功したらしい。


誰かにこの部屋に入られて探られる事があったなら、ダンジョンが見つかってしまう危険性もあるのでできれば結界も張りたいが、黒猫が部屋に出入りしたいと言うのなら仕方がないかとそのままにする事にした。


すると黒猫がまたダンジョンから出て来て≪大丈夫よ、誰かがこの部屋に入って来たら私が撃退しておくわ≫と何やら力強い返事があった。


「そう言う事ができるのなら是非お願いします」


裕は黒猫の撃退法が猫パンチやひっかき攻撃しか想像できなかったし半信半疑ではあったけれど、一応黒猫には丁寧に頭を下げておいた。


「明日から北海道へ行くので、この部屋で僕が暮らし始めるのはまだ何日か先になりますが、これからもよろしくお願いします」


裕は改めて黒猫に挨拶を済ませ、九尾のダンジョンへと入り同じ様に挨拶をした。


≪ここは妾の管理地域からは離れておるので、妾はここからは出られないのじゃ。面白くないのじゃ≫


九尾の不服そうな反応に「ダンジョンから出たいの?」と咄嗟に聞いていた。


≪当然なのじゃ。妾も人間の様子は知りたいのじゃ≫


「でもその姿で街をうろついたら目立ってしまうでしょう」


≪姿を消す事もできるのじゃ。妾が出入りできる出入り口も作るのじゃ≫


(管理者が姿を消してウロウロするって本当に誰にも気づかれないものなのか?)


≪勘の良いヤツには気付かれる事もあるのじゃ、だが別に問題は無いのじゃ≫


「ちょっと待って?それってもしかしなくても幽霊騒ぎの原因だったりするんじゃないですか?」


≪お気に入りだった家では座敷童に間違われた事はあるが、妾は幽霊ではないのじゃ≫


裕は何だか新しく得た情報の整理が今一つ追い付かずにいたが、管理者の気持ちをきちんと汲んでやれなかった事を反省し、勝手に出入口を設置し直すと言う事はそういう事なのだとつくづくと考えさせられていた。


九尾ダンジョンの出入り口を元に戻すと、新たに作った出入り口を葵さんのマンションへと繋ぎ直した。


「これで宜しいでしょうか」


≪妾は暇な時は外に出るが、お主がダンジョンに入ったらちゃんと戻るのじゃ、安心するのじゃ≫


「でもこの出入り口から僕以外の誰かが入ってくる可能性はあるんですよね?」


≪その時は妾が抵抗してみるのじゃ≫


何やら安心できない返事ではあったが、取り合えず富良野の出入り口には隠蔽だけを張り部屋へと戻った。


そうして新たに始まった(元々か?)管理者たちの自由過ぎる行動に、何も起こらなければ良いのだけれどと思うのだった。



読んでいただきありがとうございます。

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