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俺だけのダンジョン  作者: 橘可憐


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≪一定値の浄化の確認ができました、願いの申請を受け付けます≫


改に繋がり、少しは絆も深まっただろうと考えていたエルフの口調に変わりは無かった。


もっとも一番初めの冷たかった印象を思えば、普通になったと考えられるのだろうが、やはり黒猫や九尾との口調の違いは気になってしまい(やっぱりやる気が無いのか?)と、考えてしまうのだった。


「空間の可視化能力が欲しいです。成長促進設定は空間の拡張でお願いします」


裕は相手に何かを望むのなら自分も変わらなくてはと思い、まずは手っ取り早く始められる口調の改善から始める事にした。


兄達や虐められていた学校の生徒相手に面倒であまり口を利かずにいたが、喋るとなるとつい強気に身構えてしまい、口調が乱暴だった所があるのを最近になって認識した。


裕を攻撃して来ない相手と話す機会が増え、自分も相手に合わせて多少なりとも口調を変えているのに気づき、これからは意図してもっと紳士的な口調を心がけようと考え始めていた。


それもこれも管理者の口調を気にしだした事が切っ掛けだったので、裕はこのダンジョンを見つけてから本当に色んな事を学び、管理者だけでなく自分も日々成長しているだろう事を感じていた。


≪完了しました≫と言うエルフの知らせに裕はホッとすると、明後日からの北海道出張と引っ越しの準備を始めるべくダンジョンを出た。


今度引っ越す葵さんのマンションはこのアパートより若干狭く、裕の部屋は4畳半になってしまうので、ダンジョンの出入り口をどう頑張っても5つは設置出来ない。


隠蔽結界があるのでリビングダイニングに設置する事も可能だが、ダンジョンに出入りする所を見られる危険性をつい考えてしまい躊躇するというか、家中がダンジョンだらけになってしまう様で気が乗らなかった。


「やっぱりどう考えても3つが限界だろうな。いっその事ダンジョン専用の部屋でも借りようか。仕事場だと思えば良いだけだし」


そう考えてみるが、物件を探す手間とそこまで通う時間を考えると面倒くさいと思ってしまい、やはり自分の部屋にあるから毎日気軽に攻略できるのだと思い直す。


早い所家を建ててしまおうかとも思うが、でも一生物の財産となるだろう家を慌てて建てるのはちょっと気が進まない。


第一裕はまだ結婚を完全に諦めた訳では無い。


これから自分にも運命の出会いがあり、いずれは結婚して可愛い子供に恵まれる人生があるかも知れないと、心の片隅に僅かながらではあるがまだ希望を抱いてはいる。


裕は葵さんに一人寂しい老後を送らせ無いと考えた時に、自分も愛する家族に囲まれた賑やかな老後を送りたいとふと思ったのだ。


そしてそれがまた、自分を蔑ろにしていた家族に対する復讐にもなると考えていた。

だから家を建てるのは、自分が作った家族と暮らす人生が見えてからの方が良いのじゃないかと思っている。


それに葵さんが海外赴任で忙しい間は完全に独り暮らしをする事になるので、寧ろ葵さんのマンションの手狭さが管理もしやすく快適じゃないかとも思っていた。


なので裕は決断する。


まりもダンジョンは契約の通りこの部屋に置いて行く。


そして申し訳ないが、聖女様とエルフは課長に提供する事にして、黒猫と九尾だけを葵さんのマンションに連れて行く事にした。


聖女様とエルフにはかなりの愛着はあったので、手放すとなると寂しさが込み上げるが、現実だけど現実じゃない実像に惑わされる前に手放す事にしたのだ。


赤塚美憂の件もあり、このままでは現実の女性に幻想を抱き過ぎるか、または幻滅し過ぎて本質を見失いかねないと考えたのだ。


同僚の様なものだと考えようとしながらも、親しくなりたいと下心を抱いている時点で既に何かに囚われていたのだと今は思っている。


それにこれからは格の高い管理者の手伝いをすると決めたのだ。


(俺は最高位管理者を育ててみせる!)


そして少しでもこの空間と管理者の謎を解き明かして行くのだと、既に十分すぎる現金をダンジョンで手に入れた裕の決意は、こうして新たに方向転換されていた。


管理者に関して時々知らされる【そうだったのか】も不思議だったが、この空間の事も裕は実はあまり良く分かっていない。


この空間が気の穢れを祓う為の浄化空間だというのは聞いているが、結局それって誰のどんな意思が働いて作られた物なのか。

そんな事を今まで考えもせずに、ただひたすらダンジョン認定させ楽しんでいただけだった。


だけど火の発見から50万年の間この空間が存在し管理者も同時に存在していたとなると、やる気のある管理者はあの手この手で人間に浄化を手伝わせただろう。

となると、その間の歴史を見てきた管理者もいるという事なんじゃないのか?


今現在やる気があって格の高い管理者って、いったいどの位物知りなのか是非知りたい。


そして今現在格の高い管理者はどんな事ができるのか、そして管理者の格が高くなるといったいどんな事ができる様になるのかもっともっと知りたい。


今の裕は管理者の見た目より、格の高さやその能力の方が断然気になりだしたのだった。



読んでいただきありがとうございます。

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