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誤字報告本当にありがとうございます。
良く考えてみたら別に誰かの前で空間を探す事をしなければ、頼まれた場所に空間の出入り口を設置させるだけなので、その空間が何処にある物だろうと関係無いのだと裕は今になって気が付いた。
そう、例えば北海道にある空間の出入り口を大阪に設置する事だって可能なので、だから出張前に空間を探しておいても良いのだった。
とは言え、北海道で空間を探してくれと言う要望なのだから、やはり北海道で探すべきなのだろうと裕は考える。
そしてもっと言えば、出張という名目がなくても探し出した空間を使えば今すぐに北海道にも大阪にも行けると言う事で、やはり裕は空間出入り口を新しく作成する能力を試す事にした。
黒猫のダンジョンへと入り、空間探知の為のマップを広げ、早速黒猫に相談をする。
「この辺りでどこかお薦めの空間ってあるか?」
裕はマップ上の北海道地区を円で囲む様にして指定しながら聞いてみる。
≪もう少し絞った条件を教えてくれなければ選びようがないわね≫
裕は今すぐに北海道へと行けるとテンションが上がり過ぎていて、あまり深く考えずに聞いてしまったが、言われてみればまったくその通りだった。
「そうだよな、ごめん、う~ん、・・・そうだ!空間に出入りするのを他の人に目撃されない場所っていうのはどうかな?」
裕は以前そんな事を考えていたのを思い出し、取り合えず人の家の中だとか繁華街の中心部は困ると考えて条件にしてみた。
≪他に要望はない?≫
「他にか・・・」
裕はすでに北海道に行けるという事実だけに舞い上がっていて、仕事という意識などまったく無く、観光地として名高い地名を思い浮かべながら何を食べられるのかばかりを考えていた。
≪それならココかココが良さそうよ≫
黒猫はそんな裕の考えをしっかりと読んでくれたらしく、裕が答えるより先にお薦めとされる空間を尻尾で指し示す。
裕はその中から何となくだったが、中心部に近い場所でひと際明るく光る色が少し違う空間を選んだ。
「じゃぁココにする。ココの空間と新しく出入り口を作って繋いでくれるか?」
≪自分で作成と念じてみると良いわ、消す時は消去よ≫
裕は早速黒猫に言われた様に、空間探知マップ上に光る場所に意識を向けながら出入口作成と念じる。
すると意外に思ったよりあっさりと出入り口を作る事ができた。
場所は裕の部屋へと続く出入り口のすぐ隣だった。
裕はお財布を持っているのをしっかりと確認してから、新しく出来た出入り口を潜る。
そしてそこに新たに発見した空間が広がるのを見て裕は一瞬だけ困惑した。
気分的に浮かれ過ぎていて、出入り口を出たらそこはすでに北海道だと錯覚していたのだ。
いや、実際この空間があるのは北海道なのだが・・・
裕は思わず肩を落とし、そして少しだけ気分を落ち着け、空間認定をするために管理者を探す。
今回は管理者のキャラを意識する事などまったく無かったので、どんな管理者が現れるのかと期待していると、九尾の狐が目の前に現れた。
アニメでよく見かける真っ白な九尾の狐の登場に何故?と困惑していると≪人型にも変化できるのじゃ≫と言うとポンと言う擬音とともに、アニメで見かけるまんまに一瞬消えた姿が巫女装束を纏った獣人の姿となった。
勿論頭には狐耳と尻には尻尾が9本あって、思わず尻尾はどこからどうやって出している?とその後姿が気になってしまったが、確認する様な失礼な行動を取るのは控えた。
それにしてもこの九尾の口調が黒猫並みにフリーダムと言うか、アニメキャラにありそうな事にも驚いていた。
(もしかしなくてもこの九尾ってかなり格が高いのか?)
≪この辺りでは一番だと自負しておるのじゃ≫
あまりにも自慢気に話す九尾に裕は二の句が継げず、(そうなのかぁ)と思うしかなかった。
≪それでこの空間はどうするのじゃ≫
九尾は裕があまりにも何も言わず九尾を見詰めるだけなのに業を煮やして聞いてくる。
やはりその辺も裕の意見をしっかり聞いてくれるのだと確認できて、と言う事は空間認定に関しては絆の深さは関係無く格の違いなのだと知る事となった。
「ああ、取り合えずダンジョンでお願いします。魔物はウルフかボア系で」
裕は九尾の姿に触発され、咄嗟にちょっと強めの魔物をつい希望してしまった。
でも、考えてみたらココは裕が攻略する訳じゃ無いのだと言う事を思い出したが、まぁ良いかとそのまま認定して貰う事にした。
≪ダンジョン認定したのじゃ、魔物はウルフなのじゃ。所でお主は妾の姿はどちらがよいのじゃ≫
「是非人型の方でお願いします」
裕は自分が攻略するダンジョンじゃ無い事などすっかり忘れ、咄嗟にそう答えていた。
≪じゃぁこのままにするのじゃ≫
そして裕はこのダンジョンは提供するつもりでいる事を思い出し少しだけ後悔していたが、こうして人型の姿を望み会話を続けると愛着が湧いて来るのを感じていた。
しかしこれ以上親しくするのは自分の首を絞める事になりそうなので、慌ててここへ来た要件を済ませる事にする。
「それじゃ俺はちょっと外に用があるからまた来るよ」
裕は九尾の返事を待たず、この空間の場所を確認するため、そしてお楽しみの美味しい物三昧の観光をするためにいそいそとダンジョンの外に出た。
しかしそこには裕の期待を裏切り壮大な大自然が広がっていて、そして思いの外寒かった。
秋がすっかり深まり冬が始まろうとしている森林内からは、近くに街の存在を確認する事もできず、いったいどこで美味しい物を食べたら良いのかと一気に絶望という谷間に落とされた様な気分だった。
考えてみれば空間に出入りするのを他の人に目撃されない場所って言ったら、繁華街や観光名所の様な人が大勢集まる場所の訳が無く、寧ろそれを望んだとは言え本当に辺りには何もなかった。
それに近くに電車やバスと言った交通手段があるかも分からないし、こんな場所にタクシーを呼べる訳も無いので、裕は北海道観光も上手いもの三昧も諦めて戻るしかなくなった。
「でもまぁ、九尾の管理者に会えたのはちょっと楽しかったな」
裕はスマホのマップアプリを確認しながら、きっとこの場所が富良野だった事があの管理者の姿と関係しているのだろうと勝手に納得して、観光も旨いもの三昧もやはり出張の時に楽しもうと期待するのだった。
読んでいただきありがとうございます。




