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チュンチュンチュンチュンチュン
裕の魔法熟練度が上がったのか、イメージがしっかり定着したのか、指先から発射される弾丸の速度が上がったらしく発射音が変わり、裕は何気に気持ち良さを感じていた。
そして弾丸は少々離れた距離でもほぼ100%命中し、一角ウサギは次々と音もなく崩れ去り光の粒となって消えて行く。
湧きの早さをだいぶ早めているので、ダンジョン攻略と言うよりシューティングゲームの感覚で、かなり集中して夢中になれた。
≪一定値の浄化の確認ができたわ、願いの申請をして≫
夢中になって連射していた裕の脳内に久しぶりに響く黒猫の通知の声。
その通知とともに一角ウサギの湧きが治まるので、裕はダンジョン内に残る一角ウサギをすべて仕留めて黒猫へと駆け寄る。
「出入口を新たに作ったり消したり出来る能力が欲しい」
この願いは以前からずっと考えていたものだったので、裕は迷わずに即座に答える。
しばらくの沈黙の後≪完了したわ≫とあっさりとした声で知らされる。
「確認したいんだけど、この能力ってここで新たに検索した空間とも出入り口を作って繋げる事ができるんだよな?」
何度も確認していたつもりだが、また何か落とし穴が無いか裕は慎重に確認をする。
≪そうね≫
「それって距離的にどんなに離れていても絶対に大丈夫なんだよな?」
≪試してみればいいわ≫
裕は黒猫が少し不機嫌に答えるのを聞いてふと考える。
自分で管理するためのダンジョンは今の所増やす予定はない。
となったら課長に提供するための空間と言う事になるが、次は関西か北海道地区で探してくれと言っていた。
それならばこの際先回りして探しておくのも手だなと思いついて少し困った。
裕は関西と聞いて勝手に大阪と決め込んでいたが、関西って大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山と2府4県もあるではないか。
いったい何処ら辺で探しておいたら良いんだ?
そして北海道も同様に空間を探そうと思ったらその範囲はかなり広い。
適当に探して期待される場所と離れていたら探し直す事になるのかと考えて、取り合えず今は試すのを諦める事にした。
「早速試したいけど、課長に話を聞いてからにするよ」
裕は黒猫にそう返事をしたが、裕から課長に連絡をしてどの辺で探すのかを聞くのは、ただでさえ長い課長の話がさらに長くなりそうで躊躇した。
今の裕は課長の長話に付き合う時間があるならその時間は別の事に使いたいと考えていた。
その位課長と関わるのが面倒になっていた。
(日程が決まったら連絡くれるって言ってたし、その時についでに聞けば良いか)
裕はそう結論付け「空間の成長促進設定は空間を目一杯広げて良いよ」と黒猫に催促される前に先に言ってしまう。
今は魔物の湧きの早さ調整は自分で自由にできるので、あえて設定する事も無いだろうと考えての事だった。
≪完了したわ≫と言う黒猫の返事を待ってダンジョン攻略に戻った裕は、その判断を少し後悔する事になった。
裕が思っていた以上に空間が広がっていて、その広さは空間が収縮を始める頃の広さよりも明らかに広く、感覚的にサッカーコート何面分あるのか分からないが、少なくとも東京ドームが3つ4つは軽く入りそうな広さだった。
そしてその広さから一斉に湧き出す一角ウサギの迫力は、まるで広大なモンスターハウスに入ったかスタンピードでも起こったかの様で、裕は慌てて魔物の湧き間隔を少し遅くして近場の奴から手当たり次第に弾丸で打ち抜きながら黒猫に聞いた。
「もしかしてココって消滅が近い空間だったのか?」
≪そんな事ないわよ。後3回は願いの申請を受け付けられるわ≫
「それにしては一気に空間が広がった気がするけど」
≪純粋に空間だけを広げればそうなるわね≫
いやいや、そんな訳ないだろう。どう考えても以前の黒猫ダンジョンと比べて考えても広すぎる。
裕は黒猫の説明にイマイチ納得できない所もあったが、取り合えず納得するしかなかった。
「そいう言う事は先に言ってくれよ」
裕はそう言いながらも少し楽しくなっていた。
指先から発射される弾丸で1匹ずつ倒していては間に合わないと、機関銃をイメージして具現化させひたすら連射をする。
スライムとは違い一角ウサギは動きも早くジャンプをするのでちょっと厄介だったが、手当たり次第の機関銃連射には手も足も出せず次々と消滅していく。
それはまさに【快・感】だった。
近場に居た一角ウサギをあらかた倒したら、以前時間が掛かる事で挫折した広範囲魔法にも再度挑戦する。
ビックウェーブをイメージして空間の奥へと波を送り出すと、その波に巻き込まれ圧倒的な水圧で次々と姿を消して行く一角ウサギ。
「おおぉ、これは良いな」
何度か繰り返すと波のイメージもしっかりできて、範囲設定にも慣れると魔法の発動もかなり早くできる様になっていた。
ココにサーファーがいたならかなりテンションを上げて喜んだ事だろう。
(いや、さすがのサーファーでもこの波の間隔じゃ流されるか?)
時おり機関銃連射を挟みながら、ひたすらビックウェーブをあらゆる方角に作り出し空間の奥へと送り出していた。
裕は波を送り出す時に、シーツに大波を立たせる様なイメージで大きく腕を上下させていた。
多分そのお陰でビックウェーブが思った以上に成功して成果を上げたのだろうが、攻略を終えてみると結構全身が怠く重たく感じていた。
「もしかしたら筋肉痛になるかもな」
久しぶりに感じた気持ち良い疲れに満足していると、≪今日の報酬724500円よ≫と言う通知とともにいつもの様に現金が目の前に現れた。
「おおぉぉ~、最高報酬額更新じゃん」
それ程長い時間攻略していたつもりもなかったが、思いがけない高額報酬に裕は歓喜の声を上げる。
空間が広くなった分湧き出す魔物の数も増えたのか、それとも広範囲魔法で一気に討伐した事が影響したのか、何にしてもこの短時間でそれ程の数の一角ウサギを討伐したと言う事だ。
≪私も驚いています≫
黒猫も想定外の事だったらしい反応に、裕は何故か誰かに自慢したくなる様なとても良い気分になっていた。
読んでいただきありがとうございます。




