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色々と嬉しすぎて驚いています。
涼太は現在この日本に起こり得る災害に関しての予防を願い研究をしているそうだ。
例えばいつ起こっても可笑しくないとされている大地震を、人為的に小刻みな小規模地震で散らす事はできないのかとか、台風の規模の調整や進路の変更など今まで人類が抗う事ができなかった自然災害での被害を減らしたいと考えているらしい。
裕は涼太のあの空間を使っての願いを初めて聞かされ、自分の願いとの規模の違いに正直驚かされた。
「俺には絶対に考えつかないです。でもそんな事が本当に可能になったら大災害で困る人はいなくなりますね」
裕は半ば他人事の様な返事をしながら、やはり自分の方こそが欲望にまみれているのだと考えていた。
そして涼太から聞いた話での課長は、古代文明の謎解明のためにアカシックレコードにアクセスしたらしい。
裕は課長の事をただの超能力オタクだと思っていたのでこの話にも驚いた。
裕があの空間を教えた事で、悪い大人達が自分の欲望を満たすのだと勝手に思い込んでいたが、涼太も課長も国益の様なものを考え壮大な目的を持ってあの空間に挑み、ちゃんと節度を守っている大人なのだと知らされちょっと反省した。
そしてその辺の事も含めあの謎空間に関する情報の非公開レベルはかなり高く、最重要国家機密とされているそうだが、裕は自分の楽しみのためだけに最重要国家機密であるダンジョンを3つも独占しているのだと思うと、優越感を感じるより先に自分の事しか考えていない視野の狭さを恥ずかしいと感じていた。
かと言って今さら裕にそんな壮大な目的など思いつきもしないし、自分が立てた予定を変える気も無かった。
だいたい裕には国家の事を考えての熱い思いなどまったく無く、いずれ目的を果たしたらダンジョンを卒業するつもりでいるので、正直な話何を聞かされても他人事でしかなく、今の所頑張ってくださいとしか言いようが無かった。
ただ自分がダンジョンで手に入れた能力が涼太や課長の助けになるのだとしたら、これからも活用するつもりでいるし、そしてそれが今の自分の仕事だとは思っていた。
昨日国家未詳案件調査対策室で涼太から聞かされた話を思い返しながら、自分がいかに他人に興味が無かったかを思い知らされ、そして謎空間を教えるのは半年に一度で良いかと適当に考えていた事も反省していた。
確か課長は謎空間を必要としている部署がまだあると言う様な言い方をしていた。
きっと涼太や課長の様な国益を考えて必要としている人達がまだ居るのだろう。
だとしたら必要とされている分は適当に考えずにちゃんと提供するべきだろうと裕は考えを改めていた。
涼太はどういう訳か空間内転移の能力を今現在発見されている空間内だけの転移能力だと勘違いしていて、裕も敢えてそれを訂正する事は無かったので、課長も涼太も無理に謎空間の発見を急がせるような事を言わず、見つかり次第にまた提供をお願いしますと頭を下げていた。
何しろ空間の出入り口を好きな所へ設置できると知ったのだ、他国に空間の存在を知られる心配も襲われる危険も無く自由に研究できるのだから、課長としては必要としている人に早く届けたいと考えるのも当然だろう。
こうして色々聞かされてみると、裕は今まで謎空間の提供を適当に考えていた事に後ろめたさを感じ、急ぎ空間を探す事にした。
空間探知能力で関東近郊の空間の位置を確認しながらやはり色が若干違うのがある事に気付き、裕はその違いが何を意味するのかを確かめる為に黒猫のダンジョンへと入る。
「空間探知で表示される空間の色が違うのがあるけど、それって何か意味があるのか?」
≪私の様に格が高い空間か管理者の居ない空間でしょう≫
「そういう事か」
裕は取り敢えず納得して、他にも抱いていた疑問を思い出し聞いてみる。
「それじゃあさぁ、他の人達はどうやってこの空間の浄化をしてるんだ?」
≪この空間内に人が出入りする事が浄化の手助けとなるの、そして何かの物質が具現化される度に穢れが集まり浄化されていくのよ≫
「って事は、俺みたいに魔物を具現化させて討伐するのはやっぱり効率が良かったって事か」
≪そうね、お陰でかなり早く浄化が進んだわ≫
裕は何気に自分が褒められたような気になりちょっと嬉しかった。
「もう一つ聞きたい事があるんだけど、ここから危険も無く転移できる範囲でまだ未発見の空間っていくつある?」
≪4つね≫
「その中で浄化を急いでる空間ってあるのか?」
≪私が管理するこの空間の浄化が進めば別に問題はないわ≫
裕は安全に転移できる空間の中から取り急ぎ浄化を進めた方が良い空間を選ぶつもりで聞いたのに、黒猫の回答はどうも裕の考えとは食い違っている事に戸惑った。
「それってどういう意味?」
≪私の管理範囲内に接触する空間はこの空間の影響を及ぼす事も可能で、浄化が進めば取り込む事も可能になるわ≫
裕は黒猫の説明に何となくスライムが仲間を取り込み大きくなって行く様子を思い浮かべていた。
(そして最強スライムとなりいずれはラスボスってか?)
≪あながち間違いとも言えないわね≫
黒猫は裕の妄想を読んだのかそう返すので、裕はちょっとバツが悪くなり「マジか・・・」と呟いた。
≪そうして格を上げ管理範囲を広げていくのよ≫
「それじゃ空間を取り込まれた管理者はどうなるんだ?」
≪別の場所へと強制移動って所かしら≫
「それじゃぁ新たな空間を選びたいんだけど、結局どうしたら良いんだ?」
裕は何だかまだ少し混乱しているというか頭が上手く働かず、黒猫の意見を素直に聞く事にした。
≪そうね、あなたが聖女様とエルフとどちらの格を上げたいかによるかしら≫
「どっちも普通に上げたいけど」
≪それじゃぁ、ココかココね。どちらもそれぞれの空間からなら安全に転移出来るわ≫
黒猫は裕の空間探知能力で現れるのと同じマップを広げると、その場所を尻尾で指し示しながら説明する。
裕はその場所をしっかりと覚え「ありがとう」と黒猫に礼を言い早速ダンジョンを移動したのだった。
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