㉙ 二人の関係性
「おお、そちが時空を超えて名高い、杉浦鷹志か。確か戦闘王イシュタルから、スサノオの二つ名を授けられたという…見たところ、タダのニンゲンのようじゃがのう?そうか、そうか。そちが由理子の第一婿殿か。なるほど……。」
「いや、まだ結婚は……してないんだけどね。」
「なんだ、そうなのか?では、吾輩と立場は同じではないか?」
「ワタシの気持ちが違うのよ。」
そこで由理子がトドメを刺す……が、犬王は怯まない。
「では、吾輩は甘んじて、第二婿の立場を受け入れようぞ。」
「う〜ん、ミケーネ君も居るしなぁ……。」
鷹志は複雑な気分だった。
なにしろ由理子が、自分の事を第一に考えてくれていると言いながら、そのすぐ下の序列に、イヌやネコを並べて考えているのだ。
(確かにユリちゃんが、種族を超えた博愛主義者だという事は、理解している。しかし、コレは納得が行かないハナシだ。ボクはペットじゃないぞ!)と内心思う鷹志であった。
そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、由理子は、う〜ん、どうしようかしらねぇ?などと首を傾げている。
「ねえ、鷹志はどう思う?」
「ええっ!?ボクに訊くの?」
「だって、犬や猫とは言え、一国の主たちが、"ワタシたちの"下僕になるって言うのよ?」
「えっ、そうなの?」
「仕方が無い。最悪、それでも良いぞ。」
「いや、流石にそれは……まあ、良き友人という線で手を打ちませんか?」と、逆に鷹志の方から譲歩する流れになってしまった。
「うふふ、みんなで仲良くしましょうね?」
と、してやったり顔で、由理子が笑った。
「そうと決まれば……せっかくだし、彼に、名護屋の街を案内してあげましょう。ね、鷹志。」
ああ、今日もユリちゃんのペースだなと、鷹志は思った。
「伯爵、赤いビートルは今、空いてる?」
「大丈夫ですよ。どうぞ使って下さい。」
「よし。じやあ、アヌビス君、早速、参りましょう。」
二人と一匹は、エレベーターで地下駐車場に降りて行った。
駐車場に到着して、まず二人の目に飛び込んで来たのは、お行儀良く駐車……じゃなかった停泊している、余りにもベタなUFOそのものの姿だった。
「えっ、コレって……?」
「ああ、吾輩が乗ってきた、時空転位装置付きの、王室専用宇宙船だよ。」
「まんまアダムスキー型なんだ。」
「うん、この惑星ガイア……つまり地球では、コレを勝手に、そう呼んでいるようだね?」
次に二人は、犬王をビートルの所に案内した。
「おお、コレはまた……エレガントな造形の乗り物だね。キライじゃないぞ。」
「お気に召したのなら、何よりです。今日は私が操縦しますから、助手席へどうぞ。鷹志は後ろね?」
「はあい。」(お客様第一、だよね?)と、自分を納得させる鷹志だった。




