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「物語の幕間〜彼氏・彼女の日常」(セーラー服と雪女 第19巻)  作者: サナダムシオ


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㉕ 決着はお預け

 


「先程も言ったように……。」

 サン・ジェルマンが雪子に語りかける。

「…不老不死と言えども、不死身では無いということです。」


「頭を切り離して、然るべき処理をされれば、目出度くあの世行きって訳ね?……あの世が有れば、だけど。」


「……ですから、お互い、無茶をしないように、自重しましょうって事です。」

「分かった。肝に銘じておくわ。」


「今回の顛末から察するに……ニンゲン奴隷を欲しがったゲートルが、ヒムラーをそそのかし、ヒムラーがヒトラーに進言して、あの収容所が造られたって事でしょうね。そもそもヒトラーには、そこまでヤル気は無かった。」


「でも、何故ユダヤ人だったんだろう?」

「やはり、イエス・キリストの一件が、モデルケースにされたんじゃないですかね。まあ、ユダヤ人の多くは頭脳明晰で、アラハバキにとっても、上質な労働力になるでしょう。それにもし、捕まらなければ、ヒトラー程度の人物ならば、いつでも凌駕出来る賢さだから……ナチスにとっては、実際に脅威でしょうしね?でも彼等はきっと、そんなつまらない事には、興味を持たないでしょうけど……。」  


 サンジェルマンは、そう言って薄く笑った。今回の事で、彼自身のトラウマも、多少なりとも解消されたのだろう。


「……それにしても、アラハバキの一派は、何かと暗躍してるわねえ。」 


「つい先日も、由理子さんたちが、縄文時代で遭遇したらしいですよ。私が昔、パリで出くわしたのも、恐らく彼等でしょうね。」


「まあ、いつの日にか、キッチリと決着をつけてやらなきゃね?」


「それじゃあ、帰りますか。」 

「……ねえ、せっかく二人切りなんだから、少し寄り道して行かない?」


「そんなファム・ファタールみたいな顔で誘っても、ムダですよ?もう私も、あの頃のようには、純真では無いので……。」

「なんだあ、残念!」

 

 そして二人は無事に帰路についた。

 帰りのクルマはサン・ジェルマンが操縦した。

 助手席で、雪子がしみじみと語る。


「今回の件では、イロイロと疲れたわ。いくら回復の早い不老不死でも、消耗すれば疲れるし、怪我をすれば、痛いのよね?」

「そういう事です……そして、不死身ではありませんからね。」


「……私、またしばらく、旅に出るわ。」

「うん、それもイイでしょう。」

「探さないでね……ああ、でもホントに緊急時には駆けつけるから、その時はまた、コレで呼んでね?」

 彼女はそう言って、左腕のリング型デバイスを指差した。


「分かりました。必ずそうしますよ。」

「約束よ。サン・ジェルマン。アナタも無理をして、私より早く死んだりしないでね?」

「まあ、それは、多分……。」

「なによ、その返事は!」

 彼女がそう言うと、二人して笑い合ったのだった。


挿絵(By みてみん)

 

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