2話
あの、取り調べがあってから一週間が経過していた。
なぜかあの日を境にななみは学校にあまり来なくなっていった。
俺は犯罪に加担したことになるのだろうか。そんなことをずっと考えていた。
あいつは最初一人で何も使わず人を惨殺する動画を作っていたことが分かった。
顔は出ていないがあんなことができるのはあいつしかいない。
俺はたまたま、ショッピングセンターで小岩井にあった。そして、動画を撮ることを頼まれた。
『これから、世界は変わる。しかと見ておけ』
結局あいつに動画を渡すことは不可能になってしまったわけだ。
しかし、問題は俺個人の判断でネット上にあの動画をばらまいたことだ。犯罪にはならないのかもしれないが倫理に反している。
「くそ...」
自己嫌悪で死にたくなる。
異変はここで起きた。
そんなことを考えながら部屋に戻ったら。ドアノブが溶けていた。
「なんだ...これは...」
息が荒くなる。こんなことがありうるのか?
小岩井の事件を思い出す。日常にはあり得ない光景...。
顔をあげたら壁がなかった。俺の足元にはドロドロした液体が流れている。そうだ、目の前壁がない...。
「うああああ、」
俺は外に飛び出す。
がむしゃらに走る走る走る...。
気がついたら、近くの公園まで来ていた。小学生のころよくななみと遊んだ公園だ。
「奇遇だね」
ななみはそこにいた。
「ど、どうしてここに?」
多分今の俺は人様に見せられるような顔ではないだろう。こうして、言葉を返せたのだって奇跡だ。
家での出来事が思った以上に心に響いたらしい。
ななみが俺の顔を自分の胸に引き寄せる。
「大丈夫、大丈夫」
「...ありがとう。落ち着いた。」
こいつはバカのくせにこういうところには気が回って本当にありがたい。
ちなみに、余談だが胸はかなりある。これが母性か...。
「では我が半身たるエレボスに問う」
いきなり中二モードに入られた。
しかし、いつもの振る舞いに安心してもう涙は止まっている。
「どうした?」
「そなたの体に何か異変はないか?」
「体?」
俺自身に異変はない。
「そうか。なら見せるのが早かろう」
なぜかななみはクラウチングスタートの体制になる。
「霊衣開放!超新星爆時発!《スーパーノバ》」
瞬間、とてつもない砂ぼこりが起きた。
「けほ、ごほ」
「おーい。どうだった?見えた?」
ななみは公園の端にいた。
「これが私の瞬間移動能力だよ!」
ふー。俺は一回落ち着くことにした。
まとめよう。ちなみに余談だが俺の偏差値は72である。同じ高校に通うくらいだ。当然ななみもそこそこやる。
そんな彼女が瞬間移動だと冗談をいうだろうか。
いや、あいつの言葉の審議などどうでもいい。目のまえで確かにあいつは瞬間移動を行った。
彼女の影が残像が俺の目には見て取れた。
そして、俺は壁を溶かした。ドアノブの形を変形させた。
ここから、導き出されることは...。
いや、そんなことはあり得ない。
「ねえ、佐久間。溶けてるよ、鉄柵...。」
「なあ、お前超能力って信じるか。」
「信じて行動したほうがおもしろいよ!」
「そうか...」
本当はこんな非科学的現象信じたくはないが、信じて行動したほうがいいだろう。現状わかっているだけで三人の能力者が存在している。
俺のクラスだけなのか、それとももっと多くの能力者がいるかもしれない。さすがに夢落ちなんてはないだろう。ないよな?
「どうしたの頬なんかつねって?」
「インターネットあ、何でもない。そんなことよりななみ、これからはちゃんと学校に来てくれ。」
「え、でも...」
「お前の言いたいことはわかる。」
こいつは人に迷惑をかけるのが嫌いなんだろう。それに、俺たちと同じような力を持っていると思われる小岩井は射殺された。
「俺が守るから。だから来い」
「...わかった。しかっり守ってよね」
どこか消え入りそうな顔で彼女はそう言った。
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