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甘い渇きと恋心  作者: 月海みやび


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8/17

Episode 7

あれから、仕事終わりにも本を借りに来るようになった。

休憩中に感想を言い合ったり、随分と仲良くなれた気がする。


「東雲さん、お疲れ様」


優しい微笑みと共に、コーヒーが差し出される。


「⋯ありがとうございます⋯」


受け取ったコーヒーを一口飲んで、笑みをこぼした。


彼に対する想いは、日に日に増している。


「⋯佐藤さん、この小説⋯凄く面白かったです⋯!」

「良かった!いつもと雰囲気違うから、少し心配だったんだけど⋯」

「こういう雰囲気の作品も、凄く好きです⋯!⋯自分からは、あまり読まない気はしますが⋯」

「東雲さん、正直だよね」

「っ⋯すみません⋯!」

「謝らないで!変に誤魔化したり、話を合わせられるより⋯正直に言ってくれた方が良いから」

「⋯はい⋯」

「自分からは読まないけど、好きな雰囲気の作品ってあるよね⋯」

「⋯そう、ですね⋯矛盾してる気もしますが⋯」


顔を見合わせて、苦笑する。


こうした何気ない会話が、私にとっては宝物みたいに輝いていた。


「⋯そういえば⋯前に東雲さんが好きだって言ってた小説⋯映画化されてるんだね」

「えっ⋯?そうなんですか?」

「この前、映画館にポスター貼ってあったよ」


スマホで検索して、画面を見せてくれる。


「ほら⋯今月末まで上映してるって」

「⋯知りませんでした⋯教えてくれて、ありがとうございます⋯」

「どういたしまして」


優しく微笑む彼に、また好きが募っていく。


「⋯あ、あの⋯もし良かったら⋯一緒に見に行きませんか?」

「⋯いいよ、今週末とか⋯どうかな?」

「っ⋯大丈夫です⋯!今週末、楽しみにしてます!」

「僕も楽しみ」


連絡先を交換して、帰路につく。


今まで他人と距離を取ってきたのに⋯

普通だとか、普通じゃないとか⋯

考える間もなく、誘ってしまった。


不思議と、後悔や不安はない。


きっと自分が思っている以上に、彼を求めているのだと⋯

そう、自覚した。

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