Episode 3
『気持ち悪い⋯』
友達に言われた言葉が、ずっと心に刺さっている。
自分は普通じゃない⋯
それに気付いてから、他人と距離を取ってきた。
誰かを、愛してしまわないように⋯
いつものようにカウンターに座り、館内を眺める。
「っ⋯危ないから、走っちゃダメよ⋯!」
小さい子に注意をし、視線をあげる。
「⋯今日も来てる⋯」
彼を見つけ、思わず声がこぼれた。
小さく首を振り、視線を逸らす。
「こっちの返却本、棚に戻して来ますね」
先輩に声を掛け、立ち上がる。
「⋯あれ、おかしいな⋯スペースがない⋯」
大量の本を抱えたまま、本棚の前で立ち尽くした。
隅々まで本の位置を確認していく。
「⋯あった!これが違う⋯」
背伸びをして本を取ろうとし、抱えていた本が崩れかける。
「っ⋯!」
「大丈夫ですか?」
崩れかけた本が持ち上げられる。
「あっ⋯大丈夫です⋯ありがとうございます⋯」
「はい、取ろうとしてたの⋯この本で合ってます?」
「あ、はいっ⋯!ありがとうございます⋯」
お辞儀をし、本を受け取る。
「⋯あの、この前も⋯今日も⋯ありがとうございました⋯」
「いえいえ、大したことしてないので」
優しい微笑みが向けられ、思わず視線を落とす。
立ち去る後ろ姿を見つめ、胸がドキドキと音を立てるのがわかった。




