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甘い渇きと恋心  作者: 月海みやび


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Episode 13

「⋯どしゃ降り⋯」


仕事を終え、ロビーで立ち尽くす。


貸し出し用の傘を求め、身を翻した。


「っ⋯美夜ちゃん!」


名前を呼ばれて、振り返る。


「っ⋯慧さん!?どうして⋯」

「⋯傘、持ってないかなと思って⋯」


そう言った彼の手には、鞄と差して来た傘しかない。


私の視線に気付いたのか、照れたように微笑んだ。


「美夜ちゃんが濡れると思って⋯慌てて来たから⋯」


困ったように、濡れた傘を見つめる彼が愛おしく感じる。


「⋯ありがとう」

「大きめの傘だし、一緒に入れるかな?」


微笑みながら頷き、一つの傘に入る。


私が濡れないように傾けてくれた傘に、優しさと幸せを感じた。


「慧さんが濡れちゃいます⋯!」

「僕は大丈夫だよ⋯美夜ちゃんは、濡れてない?」

「はい⋯慧さんのおかげで⋯」


嬉しそうに微笑む姿に、何も言えなくなる。


家まで送ってくれた頃には、肩が濡れてしまっていた。


「っ⋯慧さん、肩が濡れて⋯!」


急いでハンカチを取り出し、肩を拭く。


「このくらい、大丈夫だよ」

「っ⋯ダメです!風邪、引いちゃいます⋯」


そっと玄関を見つめる。


「⋯上がって行ってください⋯」

「っ⋯いいの?」


黙って頷くと、満面の笑みが返ってくる。


私たちは、一緒に家の中へと入った。

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