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甘い渇きと恋心  作者: 月海みやび


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12/17

Episode 11

「オススメの吸血鬼映画、教えてください⋯!」


自分の事を知りたくて、軽く放った一言。

この言葉をキッカケに、彼の部屋で硬くなっていた。


「ごめんね、家に来てもらって⋯」

「いえ⋯たくさん見せてもらえて、楽しかったです⋯」


彼の持っているDVDをいくつか見終えて、頂いた紅茶を口に運ぶ。


ホラーな吸血鬼映画を想像していたのに、見せてもらったのはどれも吸血鬼のラブストーリーばかり。

正直、映画どころではなかった。


「映画、どうだった?」

「⋯正直、あまり見ないジャンルなので⋯よくわからない、です⋯」

「そっかぁ⋯」

「ごめんなさい⋯私からお願いしたのに⋯」

「そんなの気にしなくて良いよ」


優しく微笑む彼に、緊張が高まる。


「⋯佐藤さんは⋯吸血鬼が実在したら⋯映画みたいに恋したいですか?」

「うーん⋯恋って、したいと思ってするものじゃない気がするけど⋯東雲さんみたいに、優しくて趣味の合う人なら⋯」

「えっ⋯?」

「っ⋯!ごめん、いきなり東雲さんみたいに⋯なんて、嫌だったよね⋯?」

「っ⋯違います⋯!嫌、とかじゃなくて⋯」

「⋯良かった⋯僕、東雲さんと居ると⋯凄く楽しくて⋯」

「っ⋯私も⋯楽しい、です⋯」


嬉しそうな瞳を見つめる。


「っ⋯!」


今までとは違う、渇きのような波が押し寄せてきた。


慌てて視線を落とす。


「⋯東雲さん⋯」

「っ⋯はい⋯」

「⋯僕、恋とかよくわからないんだけど⋯東雲さんとは、これからも一緒に居たい⋯これって、恋⋯なのかな?」

「っ⋯!わ、わかりません⋯私⋯東雲さんが初恋なので⋯」


自分の発した、初恋という言葉に慌てて口を塞ぐ。


「⋯初めて、一緒に映画を観た時⋯東雲さん、好きって言ったよね?」

「っ⋯それは⋯」

「席だって言ってたけど⋯本当は僕の事だったって思ったら⋯自惚れかな?」


何も言えずに俯く。


「⋯僕、あの好きって言葉を聞いて⋯ドキッとしちゃったんだよね⋯だから、自惚れてもいい?」


黙ったまま、そっと頷いた。

私には、それが精一杯だったから。


クスッと笑う声が聞こえ、思わず顔をあげる。


「東雲さん、顔真っ赤⋯」


からかうような言葉にも、優しさが滲んでいた。

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