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甘い渇きと恋心  作者: 月海みやび


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Episode 10

お母さんの話が頭から離れない。


「⋯吸血鬼、か⋯」

「⋯吸血鬼がどうしたの?」


不意に降ってきた声に、慌てて振り向く。


「っ⋯!⋯佐藤さん⋯」

「ごめん、びっくりさせるつもりはなかったんだけど⋯」

「⋯いえ、大丈夫です⋯」


無意識に、距離を取ってしまう。


「⋯東雲さん、吸血鬼に興味あるの?」

「えっ⋯!?」

「⋯そういう本、珍しい気がして⋯」


困ったように笑いながら、私の手元へ視線を落とす。

そこには、吸血鬼の本があった。


「っ⋯!これは⋯」


無意識に持っていた本を慌ててしまう。


「⋯僕も、吸血鬼とか好きだよ」


聞こえてきた言葉に、彼の顔を見つめる。


「⋯吸血鬼⋯好きなんですか⋯?」

「うん⋯オカルトっぽいの、恥ずかしいんだけど⋯」


照れたように微笑む彼を見て、喉が渇く気がした。


「⋯信じてるんですか⋯?」

「⋯居たら良いなとは、思うけど⋯」

「っ⋯怖くないんですか?」

「⋯吸血鬼?⋯怖くはないんじゃないかな?」


彼は、深く考えずに言っている。

それはわかっているはずなのに⋯

何故か、私を認めてもらえたような気持ちになった。

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