11/17
Episode 10
お母さんの話が頭から離れない。
「⋯吸血鬼、か⋯」
「⋯吸血鬼がどうしたの?」
不意に降ってきた声に、慌てて振り向く。
「っ⋯!⋯佐藤さん⋯」
「ごめん、びっくりさせるつもりはなかったんだけど⋯」
「⋯いえ、大丈夫です⋯」
無意識に、距離を取ってしまう。
「⋯東雲さん、吸血鬼に興味あるの?」
「えっ⋯!?」
「⋯そういう本、珍しい気がして⋯」
困ったように笑いながら、私の手元へ視線を落とす。
そこには、吸血鬼の本があった。
「っ⋯!これは⋯」
無意識に持っていた本を慌ててしまう。
「⋯僕も、吸血鬼とか好きだよ」
聞こえてきた言葉に、彼の顔を見つめる。
「⋯吸血鬼⋯好きなんですか⋯?」
「うん⋯オカルトっぽいの、恥ずかしいんだけど⋯」
照れたように微笑む彼を見て、喉が渇く気がした。
「⋯信じてるんですか⋯?」
「⋯居たら良いなとは、思うけど⋯」
「っ⋯怖くないんですか?」
「⋯吸血鬼?⋯怖くはないんじゃないかな?」
彼は、深く考えずに言っている。
それはわかっているはずなのに⋯
何故か、私を認めてもらえたような気持ちになった。




