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雲翰社火戦

腹に刺さる刀


雲翰社の舞台はまだ燃え盛り、両親や門下の者たちの死体があちこちに横たわっていた。


雲菫の長槍が三人目の織田兵の喉を貫いた瞬間、林秀貞は刀の血を拭っていた。


「役者風情が反抗する資格があるのか?」

林秀貞の小太刀は容易く彼女を地面に押さえつけた。


刃が腹部に突き刺さった刹那、彼女は唇を噛み砕いた。


激痛の中で父の遺した小太刀を手探りで掴む——一撃目は相手の肋骨に突き刺さり、二撃目は腰腹を引き裂き、三撃目は胸に深く食い込んだ。


最後の冷たい閃きと共に、彼女は刀身ごと林秀貞の首に突き込んだ。


空は血の海に倒れた彼女を抱き上げる。「持ちこたえて……」


璃月港の医者が彼女の腹から折れた刃を取り出した時、固く握り締めた拳の中には、血に染まった衣装の破片が半片残されていた。




火は勢いを増して燃えていた。


雲翰社の彫刻と絵彩で飾られた舞台は、今や巨大な薪の山となり、パチパチと悲鳴のように音を立て、夜空を不吉な朱色に染め上げている。焼け焦げた臭い、血の生臭さ、それに絵の具が燃える刺激臭が混ざり合い、かつて雅な楽曲と舞袖が舞った中庭に充満していた。揺らめく火の光が、無造作に倒れた死体たちを照らし出す。座長である父は舞台の縁にうずくまり、背中の致命的な傷は体をほぼ貫いていた。琴弾きの張老師は愛用の琴に身を伏せ、弦は完全に切れている。そして端役の若い門下生たち——今朝まで一緒に稽古し、笑い合った仲間たちも、今や血と火の間に冷たく沈黙する影と化していた。


雲菫は灼熱の地獄の真ん中に立ち、手に持つ長槍「破雲」は微かに震え、槍の房は濃く粘りついた暗紅の血に浸かっている。三人目。これで三人目の織田軍兵が彼女の槍の下に倒れた。兵は喉からゴロゴロと空気が漏れる音を立て、血にまみれながらも眼光の鋭い少女を信じられないように見つめ、ゆっくりと崩れ落ちた。


荒い息を繰り返し、肺は焼けるように痛む。汗と誰のものか分からぬ血が額から流れ落ち、視界を曇らせる。だが目を閉じるわけにはいかない。閉じれば、乱刃の中で母が必死に彼女を押しのけ、身をもって刃を受け止めた光景、父が「早く逃げろ」と嗄れた声で叫び、槍に貫かれて倒れる姿が蘇ってくる。


揺らめく火の光を抜け、彼女の視線は一人の男に釘付けになった。


林秀貞。南蛮胴具足をまとい、この虐殺を指揮する武士だ。彼は悠然と中庭に立ち、白い布でゆっくりと打刀の血を拭っている。その佇まいは戦場にいる者ではなく、自らの庭で骨董品を愛でるようだ。冷たい鎧に火の光が映り、鬼の瞳のように煌めきを反射している。


雲菫の視線を感じ、彼は顔を上げる。兜の影に大半を覆われた顔に、軽蔑と猫が鼠を弄ぶような悪戯が混じった淡い笑みが浮かんだ。


「役者風情が反抗する資格があるのか?」

声は大きくないが、炎の轟音や建物の崩れ落ちる音を貫き、冷たい錐のように雲菫の耳に突き刺さる。


雲菫は答えない。代わりに「破雲」が空を裂く甲高い轟音を響かせた。足に力を込め、焦げた地面と温かい血の水たまりを踏み越え、槍先は幾筋の冷光を纏い、まっすぐ林秀貞の顔・喉・胸を狙い撃つ。一突き一突きに全ての悲愤と力を込め、稲妻の如く速く、流星のように疾い。


だが林秀貞は僅かに身をかわし、受け流し、また身を躱すだけだ。動作は簡潔で無駄がなく、幾多の戦場をくぐり抜けた者の冷酷さと正確さを宿している。打刀が弧を描き、長槍の猛攻を容易く払いのける。力の差は絶望的に開いていた。雲菫の槍術は父から直伝を受け、軽やかで敏捷だが、林秀貞のような戦場の殺し屋の前では派手すぎ、一撃必殺の苛烈さに欠けていた。


「カーン!」

再び激しく刃と槍がぶつかる。雲菫は手首の虎口を裂き、槍を落としかけ、衝撃でよろめき後退し、呼吸は完全に乱れた。


林秀貞は首を振り、やや失望したような表情を浮かべる。勢いよく踏み込み、刀光が一闪——斬り下ろすのではなく、刀身の側面で雲菫の手首を強く打ち叩いた。


「っ……!」

雲菫は痛みに呻き、ついに「破雲」は手を離れ、カランと地面に転がり落ちた。


続いて強い力が膝裏に蹴り込まれる。彼女は思わず前にひざまずき、起き上がる間もなく、林秀貞の足が背中に踏みかかり、冷たく汚れた地面に強く押さえつけた。土埃と血汚れが一瞬に口と鼻に込み上げる。


「その程度の腕前か?」

頭上から響く林秀貞の声には、隠しようもない嘲りが滲んでいる。彼は身をかがめ、膝で彼女の腰を押さえ、片手で乱暴に髪を掴んで顔を横に向けさせ、燃え盛る舞台と亡くなった肉親・門下生たちを見せつける。


もう片方の手で腰の小太刀を抜き取る。一尺余りの細長い刀身は、冷たい妖しい光を放っている。


「遊びはもう十分だ。家族の元へ送ってやろう。」


冷たい刃先が腰の下あたりに押し当てられる。雲菫の全身の筋肉が一瞬に張り詰め、水から上がった魚のようにもがくが、相手の圧倒的な力の前に、あらゆる抵抗は無駄に終わる。


そして、引き裂かれる痛みが襲った。


言いようのない、純粋で激しい苦痛が接触点から一気に炸裂し、瞬く間に全身を駆け巡り、意志と思考を打ち砕いた。小太刀は抵抗なく腹部に突き刺さり、さらに奥へ、下へと食い込み、かき回される。視界は一瞬に赤く染まり、すぐに暗転。耳には血が逆流する轟音と、自分が歯を噛み砕く音が響く。唇は噛み破れ、口いっぱいに鉄の生臭さが広がる。


彼女は即座に命を落とすと思った。


だが意識が闇に飲み込まれる寸前、血と火に浸かった地面に顔をつけたまま、激痛の痙攣の中で右手が冷たく馴染みのあるものに触れた。


柄だ。小太刀の柄。


父の小太刀。普段紙を裁ったり小道具を修理したりするため肌身離さず持っていた愛刀だ。今、父が倒れたすぐそばに静かに転がっていた。


生きたい本能、あるいは復讐の執念が、死に迫る激痛を押しのけた。その瞬間、どこから湧き上がった力か、彼女は身を丸め、右手でその小太刀を強く握り締めた。


林秀貞は下になった獲物の異変に気づいたようだが、気にも留めず、腹に突き刺さった小太刀をさらに強く捻り、生殺与奪を握る快感に浸っていた。


今だ。


雲菫は人間離れした獣のような唸り声を上げ、不自然な角度に身を捻る。父の遺品を握った右手に、残された全生命力を込め、勢いよく突き上げた!


一撃目!小太刀は裙鎧の継ぎ目を貫き、林秀貞の脇腹の肋骨に突き刺さる。彼の体は硬直し、顔の悪戯な笑みは凍りついた。


二撃目!自分の腹に突き刺さった刃を顧みず、さらなる傷を負うことを承知で手首を返し、小太刀を横に引き裂く。刃が骨を擦る感触は聞くだけで歯が浮く。


林秀貞は激痛に咆哮し、思わず自身の小太刀を抜いて後退しようとする。


だが雲菫に隙を与えない。三撃目!最後の力を振り絞り、小太刀を高く掲げ、勢いよく突き下ろす!今度は刃先が鎧の隙間に正確に入り込み、胸に深く食い込んだ!


林秀貞は目を見開き、驚愕と怒り、そして死への恐怖に歪む。口を開くが、まともな声は出てこない。


雲菫は彼を見つめ、血にまみれた顔には何の表情もなく、ただ死のような冷たさが宿っている。胸に突き刺さった柄を離し、左手で自分の腹に刃を握る彼の手首を掴む。得体の知れぬ力で、腹に刺さった小太刀を無理矢理少し引き抜いた。


そして刹那の隙に、右手は血で滑る柄を再び握る——今度は林秀貞自身の小太刀だ。激痛で力が緩んだ瞬間を狙い、刀身ごと彼の握る手もろとも、断固として首に突き込んだ。


「ブチッ——」


刃が筋肉を断ち、気道を貫き、頸骨に達する鈍く鮮明な音が響く。


林秀貞の動きは完全に止まる。瞳の光は急速に失われ、体はふらついて重く後ろに倒れ、鈍い音と共に埃を巻き上げた。


世界は雲菫の眼前で回転し、崩れ落ちる。腹部の傷は全てを飲み込む黒い淵となり、激痛が潮のように押し寄せ、残された意識を打ち砕いた。仇の死体を眺める余裕もなく、彼女は冷たい地面に崩れ落ちた。


完全に闇に飲み込まれる寸前、ぼやけた視界の端に、まばゆい金色の光が飛び込んできた。


誰かが炎を突き抜け、この死の地に駆けつけてくる。人影は焦る気配を纏い、急速に近づいてくる。


力強い腕にそっと抱き上げられ、地面に強く打ちつけられずに済む。異国の訛りを含みながら切迫した声が耳元に響いた。


「持ちこたえて……寝てはいけない!」


その声は遥か遠くから届くようで、揺るぎない力を宿していた。その後、果てしない闇に包まれ、まるで大波に揺られるような感覚に襲われた。


……


璃月港、不卜廬。


薬の香りが充満し、記憶の最後に残った濃い血の臭いを覆い隠している。意識は深海に沈んだ破片のように、少しずつ困難を伴いながら繋ぎ合わされる。


激痛は依然として体を支配しているが、以前の引き裂かれるような破壊的な痛みではなく、清涼な薬ときつい包帯に抑えられ、緩和された鈍痛に変わっていた。重い瞼を必死に開け、ぼやけた視界が次第に晴れる。無地の帷子と、窓から差し込む璃月港特有の潮風を含んだ昼光が目に映る。


金髪の人影がベッドの側にうつ伏せ、激しい疲労から眠りについている。旅人……空だ。


指を動かそうとすると、腹部の傷に響き、思わず息を呑む。


その気配で浅い眠りの空は目を覚ます。すぐに顔を上げ、目には血の筋が浮かんでいるが、彼女が目を覚ましたのを見て瞳は一瞬に輝きを増す。


「目を覚ましたか!動かないで、傷はとても深い……」

声は嗄れつつも、安堵と後悔が滲んでいる。


雲菫は唇を開くが、喉は渇き切って声が出ない。空は気を利かせて白湯を差し出し、そっと体を支えて少しずつ飲ませてくれる。


白湯が渇いた喉を潤し、朦朧とした思考も少しずつ晴れる。記憶の破片が押し寄せる——炎、血、倒れる人影、林秀貞の猟奇的な顔、体に突き刺さった冷たい刃、そして最後に仇の首に突き込んだ小太刀。


生きていた。


この人に救われたのだ。


「……ありがとう」

声は蚊の鳴くように微かだ。


空は首を振り、安堵と重たさが混じった複雑な眼差しを向ける。「駆けつけた時には、もう手遅れだった……君を連れ出すのが精一杯だった」

一瞬言葉を選ぶように間を置き、「林秀貞は……」


「死んだわ」

雲菫は穏やかに言葉を遮り、何事にも関係ない事実を告げるように波立ちのない声で告げる。「私が討ち取ったの」


空はしばらく沈黙し、やがてそっと頷いた。


その時、老練な白朮大夫が部屋に入ってくる。雲菫が目を覚ましたのを見て安堵の息をつく。「雲先生、目を覚まされて何よりだ。幸い、本当に幸いだ」

近づいて傷と脈を丁寧に診る。「怪我は重いが、急所は損なわれていない。しっかり養生すれば、回復は時間の問題に過ぎない」


白朮は何か思い出したように、薬棚から盆を取り上げる。盆には暗褐色の血汚れがついた歪な金属片が幾つか置かれていた。「これは君の腹から取り出した……折れた小太刀の破片だ。体内で折れ込んでいたため、取り出すのに苦労した」


雲菫の視線が破片に落ち、瞳がわずかに収縮する。これこそが自分の全てを奪い、命をも脅かした凶器だ。


だがすぐに視線を破片から外し、自身の右手に移す。清潔なガーゼに包まれた手は、依然として強く握り締め、指関節は力で白くなっているのがうっすらと見える。


空も白朮もその仕草に気づく。


「雲先生、その手は……」

白朮は無意識に自分を傷つけていないか心配し、柔らかく声をかける。


雲菫はゆっくりと、極めて緩やかに握り締めた拳を開く。


掌に残っていたのは爪でつけた血痕ではなく、半片の布切れだ。黒く変色した血に染まり、元の菫色と繊細な雲紋がうっすらと残る衣装の破片。母が丹念に仕立ててくれた新作衣装の端切れを、記念にこっそり取っておいたものだ。


深い昏睡の中でも、彼女はずっとこれを握り締め、離すことはなかった。


病室に長い沈黙が訪れる。窓から漏れる市場のざわめきと、薬炉の煮立つ微かな音だけが響いている。


雲菫は俯き、掌の血に染まった破片を長い間見つめ続ける。それからゆっくりと指を閉じ、再び強く握り締めて胸元に寄せる。


胸の奥には、胸を裂くような痛みだけでなく、灰の中から静かに芽生えた冷たく硬い何かが宿っていた。


舞台は焼き払われ、家族は失われた。


だが、役はまだ終わっていない。


窓から璃月港の空を見上げ、格子の向こうの遥か見知らぬ彼方へと視線を投げかける。


血海の深い復讐は、まだ始まったばかりだ。

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