雲浜村掃討戦
再び燃え上がる残り火
璃月、採樵谷。
ここは忘れ去られた地だ。層岩巨淵の影が陽光を遮り、険しい山道が外界の喧騒を隔てている。戦争が終わった後、誰もかつて血が流れたこの土地に近づこうとはしなかった。武田軍の死体はすでに埋葬されたが、怨霊たちが今も谷を彷徨っているように思われる。
だが、ある者たちにとって、ここは最後の隠れ家だった。
谷の奥深く、隠された洞窟の中、篝火の光が四つの険しい顔を照らし出す。彼らはまだ織田軍のボロボロの鎧を身に着け、腰の刀は刃こぼれしているが、瞳には狂気に近い希望が燃えていた。
池田広恒、かつて織田信長配下の大将・池田恒興の従弟。四十代前半、左目から顎まで走る恐ろしい刀傷が頬に残る——層岩巨淵の戦いの傷跡だ。両手を粗い石の机につき、残りの三人を見渡す。
「報せは確かだ」彼の声は低くしゃがれているが、抑えきれない昂奮が滲む。「信忠様が……テイワットに到着された。船団は三日後に上陸する」
石机の周りの三人の顔に、一斉に歓喜が広がる。
矢野六一、三十代前半、元織田信長の旗本武士で、豹のように精悍な体つき。勢いよく立ち上がる。「本当か? 信忠様は生きておられるのか? 戻ってきてくださるのか?」
「戻る」池田広恒は力強く頷く。「父の仇を討ち、失地を奪還し、織田家を再興するために」
大仓山吉は無口な中年の漢で、両手には分厚い鉄胼があり、元織田軍鉄砲隊の隊長だ。口を開かず、長年共に戦った打刀を強く握りしめる。
平武都崎は最も若く、二十代前半に過ぎないが、年齢に似つかわしくない苛烈さを瞳に宿す。織田信長の近侍出身で、主君への忠誠は狂信に近い。信忠様が帰ると聞き、思わず目頭が潤む。
「だが……」矢野六一がふと思い出す。「我々に残るのは九万の残兵、しかも敗走した軍で士気は低く、兵器も足りない。璃月港には今重兵が守り、李如松の明軍もまだ去らず、あのテイワットの妖術使いたちもいる……」
「だからこそ計略が必要だ」池田広恒が遮り、粗い地図の上を指でなぞる。「正面から攻めるのは無理だ。だが……蛇を穴から誘き出すことはできる」
指が一点を指し示す。
雲浜村。
雲浜村は璃月港の南東三十里、山と海に挟まれた静かな漁村だ。戦争中、幸運にも戦火を免れ、村人たちは漁と網干しの日々を続けていた。海灯祭が終わったばかりで、村口の赤い提灯はまだ外されず、早春の冷たい風にそっと揺れている。
正月二十三日、未明。
池田広恒は村外の小高い丘に立ち、眠りについた村を眺める。月光の下、粗末な茅屋、港に停泊する漁船、村口の大クスノキ……すべてが穏やかで、無邪気に見える。
「殿、本当に……」矢野六一が背後から、ためらいがちに問う。「村を虐殺するのですか?」
池田広恒は振り返らない。「俺が望んでいると思うか? 我々は九万の兵しかいない。相手はどれほどだ? 李如松の八万の明軍は残り、璃月の守備兵は少なくとも五万、あのテイワットの妖術使いたちもいる……彼らを誘き出さなければ、天衡山の麓にさえたどり着けない」
「だが……」
「だがはない」池田広恒の声が冷える。「これが戦争だ。戦争には死がつきものだ。彼らが死ぬか、我々が死ぬか。選べ」
矢野六一は口を開いたが、最後には黙った。
池田広恒は深く息を吸い、手を上げ、勢いよく振り下ろす。
「始めろ」
雲浜村の平穏は、最初の絶叫によって引き裂かれた。
村口の夜番の老漁師が、大仓山吉の鉄砲隊に頭を撃ち抜かれた。遺体が見張り台から墜落し、鈍い音を立てて地面に叩きつけられる。
「討て!」大仓山吉が怒鳴り、手中の打刀を振りかざす。
二千の織田残兵が潮のように村内になだれ込む。
彼らは正規軍ではなく、厳しい軍規も精良な装備も持たない。だが一つだけ持っている——絶望から生まれた狂気だ。九万の残兵は深山に隠れ、飢えと寒さに耐え、毎日死の淵をさまよってきた。抑えきれなかった憤り、絶望が、原始的な獣性となって噴き出す。
茅屋の戸は蹴り破られる。眠っていた村人は反応する間もなく、乱刃に斬られる。血が壁に飛び散り、貼りたての春聯を赤く染める。
「助けて! 助けてくれ!」
薄着の若い女が外に飛び出すが、三人の兵士に囲まれる。絶望的な叫び声は、やがて飲み込まれる。
老人は地にひざまずいて命乞いをするが、一刀で首を落とされる。
子供が母の遺体のそばで泣き叫ぶと、蹴り飛ばされ、刀光が走る。
炎が茅屋を飲み込む。乾いた藁は瞬く間に燃え広がり、夜空をオレンジ色に染める。泣き叫び、悲鳴、哄笑、炎のはぜる音が、地獄の調べとなって響き渡る。
池田広恒は村口に立ち、無表情にこの光景を見つめていた。
血まみれの兵士が駆け寄り、興奮して報告する。「殿! 村東は制圧完了! 穀物二十石を鹵獲しました!」
池田広恒は頷く。「続けろ」
別の兵士が走ってくる。「殿! 村西で抵抗があります! 十数人の漁師が魚叉を持って……矢野殿が対応しております!」
遠くでは、矢野六一がまさに「処理」していた。彼の刀法は潔く鋭く、一撃一撃が命を奪う。魚叉を持った漁師は彼の前では子供同然で、次々と倒れていく。
平武都崎は婦女子の「掃討」を担当する。彼の刀も速く苛烈だが、顔には病的な笑みが絶えない。
半時後、雲浜村は完全に沈黙した。
炎は燃え続けているが、泣き声はもう聞こえない。
村口の大クスノキの下、池田広恒は血の海を踏み、北を眺める——そこは璃月港の方角だ。
「次の手だ」彼は語る。「璃月の援軍が来るのを待つ。そして……天衡山を占拠する」
大仓山吉が血まみれで歩み寄り、低い声で問う。「璃月の兵は来るでしょうか?」
「来る」池田広恒は冷やかに笑う。「血の匂いを嗅ぎつけた蝿のように押し寄せる。そうしたら、彼らに教えてやる。包囲して援軍を撃つとはどういうことかを」
彼は振り返り、村内で略奪する兵士たちを眺め、複雑な感情が瞳をよぎる——昂奮か、それとも悲しみか。本人にも分からない。
「諸人に伝えろ。急げ。夜明け前に雲浜から撤退する」
「はっ!」
炎は燃え続け、砕かれた遺体、崩れ落ちた家屋、このすべてを見届けた大クスノキを照らす。
木には、破れた春聯が風に揺れていた。
「歳々平安」
報せが璃月港に届いたのは、夜明けと同時だった。
総務司の役人は転ぶように鐘離の執務室に駆け込む。
「殿! 雲浜村が! 雲浜村が襲撃されました!」
鐘離は勢いよく立ち上がり、持っていた古い花瓶が床に落ちる。「何だって?」
「織田の残党です! 少なくとも二千人! 雲浜村は……焼き払われました。村人たちは……村人たちは……」
役人は言葉を詰まらせる。
鐘離の顔は一瞬青ざめる。だがすぐに冷静を取り戻し、大股に執務室を出る。
「命令せよ:璃月港駐留の全軍、直ちに集結せよ。また、使いを遣わし、旅人エーテルとその仲間を招け——もし彼らがまだ璃月にいるなら」
「承知いたしました!」
璃月軍が集結を始めるその時、採樵谷の奥で、残り八万八千の織田残兵がひっそりと移動していた。
池田広恒の第二の計画は、すでに動き出している。
天衡山が、彼らの次の標的となる。
はるか東シナ海の海上では、織田の旗を掲げた船団が波を切り、璃月港へと進んでいた。
船首には、若い男が背後に手を組んで立つ。その顔立ちは織田信長によく似ている。
織田信忠。
彼の瞳には、復讐の炎が燃え上がっていた。




