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夏の夜と、2人の花火

運動会が終わって、しばらくすると夏がやってきた。


ある日の帰り道。


「ねえタクマくん」


ミサキが少しだけ遠慮がちに言った。


「ん?」


「今度、町の公園で夏祭りがあるんだって…」


「知ってる!屋台いっぱい出るやつだろ?」


ミサキはうなずいた。


「うん…その…もしよかったら…」


「一緒に行く?」


タクマはすぐに笑った。


「いいね!行こう!」


ミサキはほっとしたように、小さく笑った。


そして夏祭りの日。


公園には提灯ちょうちんがたくさん並んでいて、

夜なのに明るくてにぎやかだった。


タクマは友だちと来ていたけれど、人ごみの中でキョロキョロしていた。


(ミサキ、どこだろ…)


そのとき。


「タクマくん」


後ろから声が聞こえた。


振り向くと、ミサキが立っていた。


いつもと違って、水色の浴衣を着ていた。


「ミサキ!…あ」


タクマは少しびっくりした。


「どうしたの?」


「いや…なんか…いつもと違う」


ミサキは少し恥ずかしそうに言った。


「変かな…?」


タクマは首をぶんぶん振った。


「ちがう!すごく似合ってる!」


ミサキはちょっと顔を赤くして、


「ありがとう…」


と小さく言った。


ふたりは屋台を見て回った。


「わたあめ食べる?」

「うん!」


「金魚すくいもあるよ!」

「ほんとだ」


笑いながら歩いていると、タクマが言った。


「ミサキって、お祭り来るの初めて?」


「ううん、来たことはあるけど…」


ミサキは少しだけうれしそうに言った。


「こんなに楽しいのは初めて」


「ほんと?」


「うん。タクマくんと一緒だから」


タクマはちょっと照れてしまった。


そのとき、空に大きな音が響いた。


ドーン!


「花火だ!」


夜空に、きれいな花火が広がった。


赤、青、金色。


ふたりは公園の少し静かな場所で、花火を見上げた。


「きれいだね」


ミサキが言った。


「うん」


しばらくふたりは黙って花火を見ていた。


そして最後の大きな花火が上がったとき。


ドーン!!


その音にびっくりして、ミサキが少しタクマの腕に近づいた。


タクマの心臓は急にドキドキした。


でも、なんだかうれしかった。


花火が終わったあと、ミサキが言った。


「今日…すごく楽しかった」


「俺も!」


少し歩いてから、タクマが言った。


「また来年も一緒に来ようよ」


ミサキはうれしそうにうなずいた。


「うん!」


提灯の明かりの下で、

ふたりは並んで帰っていった。


このときタクマは、まだはっきりとは分からなかったけれど――


ミサキと一緒にいると、

胸があたたかくて、少しだけドキドキする。


その気持ちが、少しずつ大きくなっていった。

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