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77.大晦日

 朝。


 外に出る。


 白い息。


「……寒い」


 すっかり冬だ。


 あやめは空を見上げる。


 今日は大晦日。


 なんだかんだで。


 一年の最後の日だ。


 あやめは自転車に乗る。


「よし」


 新聞配達だ。


 ちなみに。


 明日は朝刊休み。


「ということは」


「これが今年最後の配達ですね」


 少しだけ気合いを入れる。


 ポスト。


 パタン。


 次の家。


 パタン。


 冬の朝は静かだ。


 あやめは自転車をこぎながら思う。


「終わったら」


「今日はゆっくりしましょう」


 配達終了。


 あやめはフェアリーハイツへ戻った。


 入口で。


 しずくと会う。


「あら」


「あやめちゃん」


「おはようございます」


 しずくが言う。


「今日は大晦日だから」


「夜、一緒に年越しそば食べましょう」


 あやめは頷いた。


「はい!」


 そして夕方。


 あやめはしずくの部屋へ。


 テーブルには。


 年越しそば。


 しかも。


 エビ天入り。


「……」


「すごく豪華です」


 しずくが笑う。


「年越しですもの」


 あやめはそばを食べる。


 温かい。


 美味しい。


 あやめはふと思う。


 今年は。


 本当にいろいろあった。


 両親が亡くなって。


 一人暮らしになって。


 新聞配達を始めて。


 でも。


 フェアリーハイツに来て。


 妖精のみなさんと出会って。


 こうして年越しそばを食べている。


 あやめは小さく笑った。


「まあ」


「悪くない一年でした」


 外は静かな夜。


 もうすぐ新しい年になる。


 来年は。


 どんな一年になるんだろう。


 あやめはそばを食べながら。


 そんなことを思った。

 

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