78.初詣
元旦。
あやめたちは近くの神社に初詣に来ていた。
空気は冷たいけれど、空はよく晴れている。
参道にはたくさんの人。
お正月らしい賑やかさだ。
あやめは鳥居の前で立ち止まる。
軽く一礼。
それから境内へ入る。
参道の真ん中は神様の通り道。
端を歩く。
手水舎で手を清める。
右手。
左手。
口。
もう一度左手。
最後に柄杓の柄も流す。
「よし」
あやめは拝殿へ向かった。
お賽銭を入れる。
鈴を鳴らす。
そして。
二礼。
二拍手。
一礼。
しっかりお詣りする。
お願いごと。
少し考える。
それから。
心の中で伝える。
お詣りが終わって、横に下がる。
軽く一礼。
振り向くと、しずくが微笑んでいた。
「あやめちゃん」
「はい?」
「なんてお願いしたの?」
あやめは少し考えてから答えた。
「みんなが」
「しあわせでありますように」
しずくがくすっと笑う。
「いいお願いね」
ゆいも言う。
「あやめちゃんらしいね」
すずも頷く。
「うん、いいと思う」
あやめは少し照れた。
でも。
本当にそう思った。
去年はいろいろあった。
でも。
こうして今。
みんなで初詣に来ている。
それだけで。
なんだか。
いい一年になりそうな気がした。
あやめは小さく頷く。
「今年も」
「頑張ります」
冬の空は澄んでいて。
神社の鈴の音が、静かに響いていた。
皆さんに幸あれ。




