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70.クリスマスケーキのモデル

 ある日の夕方。


 あやめはしずくに呼び止められた。


「あやめちゃん」


「はい?」


「ちょっとお願いがあるんだけど」


 あやめは首をかしげる。


「お願いですか?」


 しずくが言った。


「知り合いのケーキ屋さんなんだけどね」


「クリスマスケーキのポスター用のモデルさんを探してるの」


「あやめちゃん、やってくれないかな?」


 あやめは少し驚いた。


「モデルですか?」


「綾芽ちゃん可愛いから、イメージぴったりだって先方さんからお話があって」


 しずくは続ける。


「もちろん嫌なら断っていいわよ」


「ただ、アルバイトって形だと年齢的にダメだから、お手伝いってことになるんだけど」


 そして、にこっと笑った。


「もし受けてくれたら、お礼にクリスマスケーキをホールでくれるんだって」


 あやめは一瞬考えた。


 そして。


「やります!」


 しずくが笑った。


「即答ね」


 だって。


 クリスマスケーキ。


 ホール。


 魅力的すぎる。


 ということで。


 後日。


 ケーキ屋さんへ。


 衣装を渡された。


 赤い服。


 ふわふわの白い縁。


「……」


 赤いミニスカサンタだった。


「綾芽ちゃん似合うね!」


 お店の人が言う。


 あやめは鏡を見る。


「……」


 まあ。


「可愛いからいいです」


 撮影開始。


 ケーキを持って。


 笑顔。


 パシャ。


 パシャ。


 数枚撮って終了。


「ありがとうございました!」


 お店の人が言った。


「ケーキはクリスマスに渡すね」


 あやめは頷いた。


「楽しみにしてます!」


 クリスマスケーキ。


 ホール。


 今から楽しみだった。

 

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