68.闇鍋
ある土曜日。
あやめはフェアリーハイツの廊下で声をかけた。
「皆さん」
「今日は闇鍋しましょう!」
みんなの視線がこちらに集まる。
しずくがくすっと笑った。
「いいわよ」
「面白そうね」
そして言った。
「じゃあ」
「わたしのところでやりましょう」
あやめは頷く。
「一人一品」
「何か持ち寄りでお願いします」
ということで。
夜。
しずくの部屋で鍋の準備が始まった。
あやめはお手製の餃子を用意した。
「これは自信あります」
そしてみんなの持ち寄り。
しずく。
牛肉。
ゆい。
豚肉。
すず。
鶏肉。
あずさ。
ウインナー。
あやめは鍋の材料を見て思った。
「……」
「闇鍋ですよね?」
肉。
肉。
肉。
肉。
全然闇じゃない。
ただの肉鍋だった。
しずくが笑う。
「あやめちゃん」
「成長期でしょ?」
ゆいも頷く。
「たくさん食べないと」
すず。
「お肉は正義」
あずさ。
「肉は裏切らない」
あやめは鍋を見た。
肉だらけ。
でも。
あやめは小さく胸を張った。
「大丈夫です」
「ちゃんと用意してます」
あやめは袋を取り出す。
白菜。
長ネギ。
「買っておいてよかったです」
あやめは鍋に野菜を入れる。
ぐつぐつ。
いい匂い。
餃子も入れる。
しばらくして。
「できました」
みんなで鍋を囲む。
「いただきます!」
肉。
餃子。
野菜。
全部美味しい。
結果。
闇鍋ではなかったけど。
みんなで食べる鍋は。
とても美味しかった。




