54.美少女理論
ある日の夕方。
フェアリーハイツのあやめの部屋。
あやめはいつもの格好。
変なTシャツ。
そしてジャージ。
ゆいさんがふと聞いてきた。
「あやめちゃんてさあ」
「いつも変なTシャツかジャージだけど」
「おしゃれとか興味無いの?」
あやめは少し考えた。
「別に」
「興味ないわけじゃないんですよ?」
ゆいさんが「へえ」と言う顔をする。
あやめは続けた。
「今」
「十三歳じゃないですか」
「今買うと」
「サイズ合わなくなるかなとか」
あやめは指を折りながら説明する。
「別に」
「男の子とデートする予定も無いですし」
「おしゃれするのは」
「成長止まってからでもいいかなと」
ゆいさんが笑う。
「現実的だね」
あやめは頷く。
「一応」
「お母さんの服は」
「持って来てはいるんですけど」
「まだ大きいんですよね」
少し肩をすくめる。
「小学生の時の服は」
「もう小さいので着れません」
そして。
あやめは腕を組んだ。
「でも」
「自分で言うのもなんですけど」
少し間。
「私って」
「そこそこ美少女じゃないですか?」
ゆいさん。
一瞬。
沈黙。
あやめは続ける。
「美少女は」
「何着ても似合うんですよ!」
胸を張る。
「たとえ」
「マジックで落書きされたジャージでも!」
ゆいさん。
少し困った顔。
そして。
「そ、そうだねー……」
とりあえず。
同意してくれた。




