50.ピーマン袋詰め
今日。
スーパーに行くと。
人だかりが出来ていた。
ハンドベルを鳴らしながら。
「今日は袋詰めだよ!」
「よってらっしゃい!」
店員さんが声を上げている。
あやめは少し興味を持った。
「……」
どんなのを入れるのだろう。
近づいて覗いてみる。
袋。
山盛り。
そして。
中身。
ピーマン。
「……」
あやめは思った。
「ピーマンなら」
「いらないや」
立ち去ろうとする。
そのとき。
「お嬢ちゃん」
店員さんが声をかけてきた。
「どうだい」
「百円だよ」
あやめは止まった。
「……」
百円。
周りを見る。
みんな。
袋いっぱいに詰めている。
あんなに入って。
百円。
「くっ……」
「百円……」
あやめは心の中で葛藤した。
そして。
結論。
「やります!」
あやめ。
挑戦。
袋を手に取る。
ピーマン。
詰める。
詰める。
詰める。
最初は普通。
でも。
だんだん。
楽しくなってきた。
「……」
隙間。
発見。
詰める。
さらに。
詰める。
向きを変える。
重ねる。
詰める。
詰める。
詰める。
店員さんが笑った。
「お嬢ちゃん」
「すごいね!」
「ほかの人の一・五倍くらい入ってるよ!」
「え?」
あやめは袋を見る。
確かに。
パンパン。
「あ、ありがとうございます」
店員さんが袋を受け取る。
「じゃあ」
「袋入れなおすから」
新しい袋に入れてくれる。
「はいこれ」
「気を付けて持って帰ってね」
「ありがとうございます」
帰宅。
机の上に袋を置く。
中を見る。
「……」
ピーマン。
山。
数えてみる。
「……」
「七十五個」
あやめは小さくつぶやいた。
「ピーマン」
「嫌いなのに……」




