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48.初盆
八月。
朝。
私は部屋で少し考えていた。
「……」
「そういえば」
「今年は初盆ですね」
両親が亡くなって。
まだ一年経っていない。
だから。
今年は初盆。
私は腕を組んで考える。
「やり方」
「うろ覚えです」
たしか。
お盆は。
八月十三日から十六日。
ご先祖様の霊を迎えて供養する期間。
十三日。
迎え火。
盆棚。
中日は。
お墓参り。
お供え。
十六日。
送り火。
そんな感じ。
「……」
私は少し考えた。
「まあ」
「気持ちが大事ですよね」
完璧じゃなくても。
ちゃんと覚えていなくても。
きっと。
それでいい。
私は立ち上がる。
「とりあえず」
「お墓参りに行きましょう」
外へ出る。
夏の空。
青い空。
少し暑い。
花を買う。
線香も。
そして。
墓地へ向かった。
墓石の前。
私は手を合わせる。
「……」
少し静かな時間。
「私」
「ちゃんとやってます」
新聞配達。
家事。
学校。
節約生活。
なんとか。
普通に暮らしている。
「だから」
「心配しないでください」
風が少し吹いた。
私は小さく笑った。
「また来ます」
そう言って。
私は墓地をあとにした。




