24.作戦会議
別の日。
いつものように柔軟をしていた。
開脚。
前屈。
ぐーっと体を伸ばす。
「うぐぐぐ……」
私が伸ばしていると、隣で同じようにストレッチしていたゆいさんが、不自然そうに聞いてきた。
「ねぇ、あやめちゃん」
「はい?」
「なんで、私が勝負の最初だったの?」
私は少し考える。
「うーん」
「そんなに深い意味は無いのですけど」
私は開脚したまま答える。
「この間、私たちの強みは体力みたいなこと言ったと思うんですけど」
「それと同じ理由なんです」
「体力?」
「はい」
私はぐーっと体を前に倒した。
「別にすずさんでも良かったのですけど」
「私たちと決定的な違いがあるのです」
ゆいさんが首をかしげる。
「決定的?」
「はい」
私は顔を上げた。
「中学生と高校生には授業に体育があります」
「でも」
「短大生のすずさんには無い」
「……」
「つまり」
私は指を立てた。
「運動不足」
ゆいさんが笑った。
「なるほど」
「体力勝負に持ち込めば、大人はなんとかなるかなと?」
「そんな感じです」
私はさらに体を伸ばす。
「今やってる柔軟もそのための努力です!」
ぐいっと体を倒す。
「うりゃああ!」
すると横から声が上がった。
「ふぎゃああ!」
ゆいさんだった。
「痛い!」
「伸びてます」
「伸びすぎ!」
私は笑った。
「魔王戦ですから」
「準備は大事です」
さらにストレッチ。
開脚。
前屈。
ブリッジ。
「ぐぬぬぬ」
「うぐぐぐ」
二人で床の上で変な声を出しながら柔軟を続ける。
しばらくして。
「はぁ……」
ゆいさんが床に転がった。
「あやめちゃん」
「はい?」
「これ本当に意味あるの?」
私は真顔で答えた。
「たぶんあります」
「たぶん!?」
私はにやっと笑った。
「努力は裏切りません」
「たぶん」
ゆいさんが天井を見ながら言った。
「その“たぶん”が怖いのよ……」




