表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/58

18.温泉宿

 宿までは、思ったより意外と近かった。


 電車で一時間。

 そこからバスで三十分くらい。

 そして最後に歩きで三十分。


 さすがに山の中だ。


 とはいえ、思っていたよりは行きやすい場所だった。


 道中はフェアリーハイツの面々と、和気あいあいと過ごした。


「遠足みたいね」


 すずさんが楽しそうに言う。


「お菓子持ってくればよかったー」


「子供か」


 りんさんが呆れた顔をする。


「でもちょっとわかる」


 ゆいさんも笑った。


 しずくさんはいつもの調子で、のんびり歩いている。


「もう少しで着くわよ」


 そう言われて少し歩くと、木々の間に建物が見えてきた。


 和風の建物だ。


 木造の落ち着いた雰囲気の宿。


「おお」


 思わず声が出た。


「雰囲気ある」


「でしょ?」


 しずくさんがちょっと嬉しそうに言う。


「こんにちはー」


 しずくさんが玄関で声をかけた。


「今日はお世話になるわね」


 すると奥から声が返ってくる。


「いらっしゃいませー」


 女将さんらしき人が出てきた。


「しずく様、お待ちしておりました」


「久しぶりね」


 しずくさんはにこっと笑う。


「今日はこの子たちと一緒なの」


「はい、伺っております」


 女将さんは丁寧に頭を下げた。


「お部屋をご案内いたします」


 私たちは靴を脱いで中へ入る。


 廊下は木のいい匂いがした。


 きしむ床も、なんだか味がある。


「おお……」


 すずさんが感心した声を出す。


「旅館って感じ!」


 案内された部屋は広かった。


 畳の部屋。


 窓の外には山の景色。


 静かで落ち着いた空気。


「いいところだな」


 思わずそう言うと、


「気に入ってくれた?」


 しずくさんが笑った。


「はい」


「すごく」


 荷物を置いて、少しだけのんびりする。


 でも。


 温泉宿に来たら、やることは一つだ。


 しずくさんが立ち上がった。


「とりあえず」


 にこっと笑う。


「温泉に向かいましょう」


「待ってました!」


 すずさんが元気よく立ち上がる。


「温泉!」


 ゆいさんも笑った。


「さっぱりしたいわね」


 私たちは浴衣とタオルを持って、大浴場へ向かった。


 脱衣所で着替えて。


 温泉へ。


「おお……」


 思わず声が出た。


 広い。


 そして湯気。


 温泉の匂い。


「いいお湯ね」


 しずくさんがのんびり言う。


 私たちも湯船に入る。


「はぁ……」


 思わず声が出た。


「極楽」


 すずさんが言う。


「これだよこれ」


 ゆいさんも肩まで浸かる。


「疲れが取れるわね」


 りんさんも静かに頷いた。


 温泉は気持ちよかった。


 山の空気。

 静かな宿。

 温かいお湯。


 みんなで入る温泉は、なんだかちょっと楽しかった。


「たまにはこういうのもいいわね」


 しずくさんがのんびり言う。


 私は頷いた。


「いいですね」


 本当に。


 来てよかったと思った。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ