7.暖かい食べ物
それから、イフはもう一眠りした。
次に目を覚ましたのは、車が止まったときだった。
ガコンッ。
扉が開き、ダラーが顔を覗かせる。
「おーい! 着いたぞ! 降りていいぞー!」
イフは周りの奴隷たちに続いて、ゆっくりと車を降りた。
目の前に広がっていた光景に、思わず足が止まる。
そこには、ボロボロになった人々が大勢集まっていた。
怪我をしている者。
疲れ果てて座り込んでいる者。
互いに肩を寄せ合っている者。
その誰もが、ひどく疲れ切った様子だった。
この人たちは、みんな奴隷なのだろうか。
それとも……。
イフは周囲を見渡した。
もしかして、この人たち全員を助けたのだろうか。
そんなことを考えていると、不意に声をかけられた。
「坊や!」
振り返ると、そこには一人のお姉さんが立っていた。
「坊や! これ、食べな!」
そう言って差し出されたのは、湯気の立つ白い食べ物だった。
「な、何……? これ……?」
戸惑うイフ。
「あら、知らないの? シチューっていうの! 食べてみな!」
イフは差し出された器を見つめた。
シチュー。
聞いたこともない食べ物だった。
けれど、ふわりと漂ってくる匂いは、たまらなく美味しそうだった。
気づけば、口元からよだれが垂れていた。
「あははっ! そんなにお腹空いてたの?」
「……」
イフは恐る恐る、スプーンを口に運んだ。
その瞬間。
「……っ!!」
イフは目を見開いた。
「お、美味じい……っ!」
こんなに美味しいものが、この世にあったのか。
イフは驚いたようにシチューを見つめ、もう一口食べた。
「よかった♪」
美味しそうに食べるイフも見てお姉さんも嬉しそう。
さらに、もう一口。
温かい。
美味しい。
身体の奥まで、じんわりと温もりが広がっていく。
すると、不思議なことに、イフの目から涙がこぼれた。
止めようとしても、止まらなかった。
なぜ泣いているのか、自分でも分からなかった。
ただ、温かかった。
それだけだった。




