5.ダラーとの出会い
爆音が響いていた。
銃声が鳴り響き、人々の怒号が飛び交う。
そんな騒がしい音の中で、イフは目を覚ました。
「おい! このガキ、まだ息してるぞ!」
ガサガサとした、渋い男の声。
「おい、起きろ! おいって!」
身体を揺すられる。
「……ん」
イフは、ゆっくりと目を開けた。
目の前には、見知らぬ男がいた。
男はイフの顔を覗き込み、驚いたように声を上げた。
「おお! 起きたか!」
そして、水筒を取り出す。
「ほら、水だ! 飲め!」
口元に水を運ばれ、イフは言われるままに水を飲んだ。
その瞬間。
「……っ!」
目が覚めた。
冷たくて、澄んだ水。
喉を通り、身体の中へ染み渡っていく。
イフにとって、飲み水といえば、汚染された川の水だった。
それなのに、この水は違った。
こんなに美味しい水が、この世界にあったのか。
まるで、聖水を飲んでいるようだった。
「ははっ! いい飲みっぷりだな!」
男は豪快に笑った。
「俺ぁ、ダラーだ!」
男はイフの肩を叩いた。
「もう安心しろ! 助けに来た!」
「……え?」
イフは、ゆっくりと顔を上げた。
そして、周囲を見渡した。
そこは、戦場だった。
銃声が響き、煙が立ち上り、人々が走り回っている。
何が起きているのか。
ここはどこなのか。
目の前の男は、何者なのか。
何ひとつわからなかった。
ただ、イフはまだ知らなかった。
この男との出会いが、自分の人生を大きく変えることを。




