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4.失われた日々
それから、一か月ほどが経った。
イフは、相変わらず石を運んでいた。
朝起きて、石を運ぶ。
働いて、食事をして、眠る。
何も変わらない毎日。
ただ一つ、母親がいなくなったことを除いて。
イフは、何日が過ぎたのかも、よくわからなくなっていた。
それでも、母親の手の温もりだけは覚えていた。
一緒に食事をしたこと。
昔の話を聞かせてもらったこと。
いつか、ハンバーグやオムライスを食べようと約束したこと。
思い出すたびに、胸が苦しくなった。
イフは毎日、他の奴隷たちの迷惑にならないよう、声を殺して泣いた。
アルトも、何度かイフを慰めに来たらしい。
けれど、当時のイフには、その記憶すらほとんど残っていなかった。
それほどまでに、母親の死は大きかった。
悲しかった。
母親を殺した男が、憎かった。
そして何より。
何もできなかった自分が、惨めだった。
後になって聞いた話では、アルトは父親と一緒に、奴隷の国から逃げ出すことができたらしい。
けれど、その頃のイフには、もうどうでもよかった。
母親のいない世界で、どこへ行こうと意味がない。
そう思っていた。
やがて、イフは過労で倒れた。
これだけ異様に短いですね




