↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イフリート  作者: 野口プレシオサウルス太郎
第1章 イフ・フォーエバー
PR
3/112

2.逃亡計画


ある日、仕事の合間に、一人の少年がイフに声をかけた。


「なあ、イフ」


「なんだよ……。話してたら、また叩かれるぞ」


「いいから聞けって!」


少年の名前は、アルト。


イフと同じく、奴隷として働かされている少年だった。


アルトは周囲を気にしながら、声を潜めた。


「俺と一緒に、ここから逃げないか?」


「……え?」


イフは思わず聞き返した。


「逃げるって……どこに?」


「街だよ、街!」


アルトは興奮を抑えきれない様子で話し始めた。


「俺の父ちゃん、前は漁師だっただろ? ここから五キロくらい先に港があるじゃん。そこから船でずーっと進めば、街の方に行けるらしいんだ!」


「そんなの……子供だけじゃ無理だよ。それに、船なんてないだろ?」


「あるんだよ!」


アルトは自信満々に答えた。


「父ちゃんが、船を隠し持ってたらしいんだ!」


「え……?」


「ずっと逃げるタイミングを探してたんだってさ! それで、三日後の深夜なら警備が緩くなるって!」


イフは黙って話を聞いた。


「竜人ども、俺たちが逃げるわけないって思い込んでるらしいぜ。定期的に集まって、酒を飲みまくるんだとよ!」


アルトは悔しそうに顔を歪めた。


「クソ竜人ども……!」


それから、イフの顔をまっすぐ見つめた。


「なあ、お前も母ちゃんを連れて逃げようぜ!」


「……お母さんも?」


「もちろんだって!」


アルトは笑った。


「街まで行けば、安全に暮らせるかもしれないだろ? それに、飯だってたらふく食えるんだぜ!」


「飯……?」


「ああ! 今まで食ったことないようなもんだって、いっぱいあるはずだ!」


その言葉を聞いた瞬間、イフの頭に母親の顔が浮かんだ。


ハンバーグ。


オムライス。


母親が話してくれた、夢のような食べ物たち。


街に行けば、それが本当に食べられるのかもしれない。


そして何より、母親と一緒に、今とは違う暮らしができるのかもしれない。


「ま、マジかよ……!」


イフの顔が、ぱっと明るくなった。


「わ、わかった! 俺、お母さんに話してみる!」


「おう! 約束だからな!」


アルトは嬉しそうに笑った。


その日、イフは久しぶりに、明日が来ることを楽しみにしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。