4 分析
マリエールは魔獣の内臓の分析を始めた。亜空間で魔獣の内臓を取り出して解析鑑定する。解析鑑定はそれぞれ必要な鑑定をする。この場合効能の鑑定だ。
4 分析
ここで言う分析とは例えば魔獣の内臓を取り出して解析鑑定する事だ。解析鑑定は、自分が求める用件を表示してくれる。この場合それが持つ効用を表示するように設定してある。しかも100段階に分けて。薬として50以下は効用がないと判断されるので表示されない。万能薬として重宝されるオークの肝臓は鎮痛解熱作用が68である。この辺りの数値が薬として求められる数値なのだろう。概ね70あれば薬として合格か。オークの肝臓から万能薬つまり鎮痛解熱剤を作る製法は医学薬学書に書かれている。これらの作業は亜空間で真夜中に行われている。何時かオークの肝臓から万能薬を作ってみようと思ってアイテムボックスに収納した。幾つかの魔獣の内臓を鑑定した。その幾つかは判り切った鑑定だった。幾つかは表示がなかった。つまり薬としての有用性がないと言うことだ。
既に魔獣から薬を作る方法は調べ尽くされたという事か。そんな事を思ったが分析を続けた。ゴブリンの腎臓を解析鑑定してみた時
「細菌を抗生させる作用が82」
とあった。抗生物質だ。後日青カビで同じように解析鑑定してみたら53だった。前世の記憶で青カビから抗生物質を作る方法はある程度知っている。青カビの抗生物質成分を抽出するのだ。ゴブリンの腎臓も抗生物質を抽出する考え方で良いだろうか。取り敢えず青カビとゴブリンの腎臓で抗生物質を作ることにした。ゴブリンの腎臓の何が抗生物質か判らないのでゴブリンの腎臓を遠心分離機などで分けて両方を解析鑑定してまた薬効が強い方を分離する事を繰り返した。最終的に青カビから薬効65、ゴブリンの腎臓から薬効92の抗生物質が出来た。試験管やシャーレ、動物実験でも成功した。注射器はこの世界では受け入れられない可能性が高いので塗布するなり吹き付けるなり浸す方法で考える事にした。
マリエールは先ず時々現れる自分の患者に使用した。明らかにゴブリンの腎臓の抗生物質の方が有用なためこれに限定する事にした。
両親にも説明して相当量渡した。父は病院で試してみると言ってくれた。母は今度の産婆仕事には同行させるので使い方をその時教えてくれと言った。この世界にはあまり厳格な患者の権利、医師の義務がないので割と薬について細くない。効果があれば使うという考え方だ。
両親や周りの人々に抗生物質の有用性が浸透した。抗生物質は幾らでもマリエールが提供するので利用する医師等は増えた。
抗生物質は王宮でも使われ始めた。保守的な御殿医は出所の判らない物使う事に難色を示す者もいる。
「出所の判らない薬は使うべきでない。もし効能だけが顕著ならば出所を明らかにしているはずだ。出所が明らかでないのは問題があるのではないか。そのようなものは王侯貴族が使うべきでない。」
それに対して、積極的に使っている医師は、
「効能は顕著だ。問題は聞く限り何もない。貧民達の間で使われていたものを医師が譲り受けたのがきっかけらしい。誰が作っているのかは問題にしないのが薬をもらう条件らしい。あなたが使わないのは勝手だ。しかし、治療のために全力を尽くすのが医師だ。出所を明かさないのはそれなりの理由があるからだろう。貧民に無料で配られていたものを我々はこうして手に入れている。貧民に配られるはずの薬をだ。これを作った薬師は万民のために薬を作ったのだろう。王侯貴族のために作った薬ではない。あなたが拘るならば王侯貴族のための薬を作ればいい。私にはこのような薬は作れない。ただもらうだけだ。」
かくして用いるかはどうかは各自が判断する事になった。
マリエールはゴブリンの腎臓から抗生物質を見付けた。動物実験に成功した。自分の患者に用いて効能を確認した。




