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曖昧な記憶の、その隣で  作者: はる乃


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第三十五話 半年‥

彬は真二へ視線を向けた。


「この後、お前たちはどうするんだ?」


「俺たちは買い物して帰る。」


「冷蔵庫も空っぽだからな。」


「あと、食いしん坊が一人いるし。」


未来はすぐに反応した。


「誰が食いしん坊ですか!」


彬は肩をすくめる。


「昨日、腹鳴らしてただろ。」


「あ、あれは事故のあとでお腹が空いてただけです!」


「同じことだ。」


「もう!」


未来は頬を膨らませる。


そのやり取りを見て、美香がくすっと笑った。


「なんか二人とも、熟年夫婦みたい。」


未来は慌てて首を振る。


「美香ちゃん、からかわないで!」


「黒沼先輩が面倒見がいいだけだよ。」


美香は楽しそうに笑う。


「そうかなぁ。」


「すごく自然だったけど。」


真二は苦笑しながら話題を変える。


「俺たちもこの後、買い物行く予定なんだ。」


美香は嬉しそうに真二の腕へ軽く手を回した。


「そうそう。」


「今日で付き合って半年なの。」


「だから真二が、お祝いに化粧品と服を買ってくれる約束してくれて。」


未来は少し羨ましそうに笑った。


「いいなぁ。」


「半年記念なんだ。」


「私は……。」


少しだけ照れくさそうに彬を見る。


「先輩といつから付き合い始めたのかも、まだ教えてもらえてないです。」


「だから、お祝いとかしたことあるのかなって。」


「全然思い出せなくて……。」


そう言って困ったように笑う。


その笑顔に、彬は返す言葉を失った。


「……。」


本当は。


そんな記念日は、一度もなかった。


未来が想い続けた相手は、ずっと真二だったのだから。


胸の奥が締めつけられる。


一方、真二はフォークを握る手に力が入った。


(半年か……。)


未来が大型案件に付きっきりだった半年。


あの頃は、お互い仕事しか見えていなかった。


……仕方なかったんだ。


美香がそばにいてくれた。


未来は記憶が戻れば、全部思い出す。


その時に謝ればいい。


俺はちゃんと未来と結婚する。


それで終わる話だ。


「真二?」


美香が心配そうに顔を覗き込む。


「あ……いや。」


真二は無理やり笑顔を作る。


「食べよう。」


そう言ってピザを口に運ぶ。


だが、いつもなら美味しく感じるはずの味が、

今日は少しも味がしなかった。


真二が、

浮気したけど最終的には未来を選ぶから問題ない!

と本気で思っている身勝手さが目立つ場面でしたね!


今後の展開も気になる方はフォローいいねして貰えると嬉しいです!

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