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曖昧な記憶の、その隣で  作者: はる乃


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第三十三話 不穏

美香は向かい合う二人を見て、ふっと微笑んだ。


「二人こそ、本当に仲がいいですね。」


「見ていて理想のカップルって感じ。」


その言葉に、未来は照れくさそうに笑う。


「そんな……。」


「まだ思い出せないことばかりで、先輩にも迷惑かけっぱなし。」


「でも黒沼先輩は本当に優しいから感謝してます。」


未来がそう言って彬を見上げる。


彬は照れ隠しのように水を一口飲んだ。


「大げさだ。」


「怪我人を放っておけないだけだ。」


その何気ないやり取りを見た瞬間。


真二は無意識にナイフとフォークを音を立てて置いていた。


胸の奥がざわつく。


美香はそんな真二の様子に気づき、

不思議そうに顔を覗き込んだ。


「真二?」


「あ……いや。」


真二は我に返ったようにグラスへ手を伸ばす。


「せっかくの料理だ。」


「冷める前に食べよう。」


その声はどこか硬く、笑顔も引きつっていた。


未来は首をかしげる。


「真二先輩?」


「何でもない。」


そう答える真二は視線を料理へ落としたまま、

彬と未来の二人を見ることができなかった。


(……何だ、この気持ちは。)


自分でも理由が分からない。


未来は記憶を失っているだけ。


彬は頼まれて恋人役を演じているだけ。


そう分かっているはずなのに。


二人が並んで笑う姿を見るたび、

胸の奥が妙にざわついて仕方がなかった。

真二自身が感情を整理できていない様子ですね。


こんな事なら、嘘をつかなければ良かったのに。

と言う展開にならないと良いのですが!


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