第三十話 4人の思惑
数日ぶりの外出。
足を気遣いながら歩く未来に、彬が声を掛ける。
「スーパー行く前に休憩でランチにしないか?」
「ちょうど昼だし。」
「はい!」
未来は嬉しそうに頷いた。
店内へ入ると、
平日にもかかわらず多くの客で賑わっている。
案内された席へ向かおうとした、その時だった。
「……真二先輩?」
未来が立ち止まる。
視線の先には、窓際の席。
真二と美香が向かい合い、楽しそうに笑っていた。
真二も未来に気付き、一瞬だけ表情を固くする。
「未来……。」
美香も振り返り、少しぎこちなく笑った。
「久しぶり。」
未来は明るく手を振る。
「お久しぶりです!」
事故前と変わらない、その笑顔。
だからこそ、真二の胸は少しだけ締めつけられた。
「怪我、大丈夫なのか?」
「はい。先輩が色々助けてくれてます。」
その言葉に、真二は反射的に彬を見る。
彬は何も言わず、未来の隣に立っていた。
「二人もランチですか?」
未来が何気なく尋ねる。
美香は少し戸惑いながらも頷く。
「うん。」
未来は二人を見て微笑んだ。
「二人は、仲が良いんですね。」
そう口にした瞬間。
理由も分からないまま、胸の奥がチクリと痛んだ。
(……どうしてだろう。)
付き合ってるいると聞いたのたがら。
二人が一緒にいるのは不思議なことじゃない。
それなのに。
その光景を見ていると、なぜか胸が苦しくなる。
そんな未来を見つめながら、
真二はゆっくり立ち上がった。
「彬。」
「せっかくだ。」
「お前たちも一緒に食べよう。」
「未来の様子も気になるし。」
そう言いながらも、
その視線は未来ではなく彬へ向いていた。
彬はその意図を察し、小さくため息をつく。
(様子を見たいのは未来じゃない。)
(俺たちの関係だろ。)
「……未来。」
「どうする?」
未来は二人を見比べ、少しだけ嬉しそうに笑った。
「せっかくですし、ご一緒してもいいですか?」
その無邪気な笑顔に、
四人それぞれが違う思いを胸に抱えて
席へ座ったのだった。
真二は、
未来の様子を知りた!という建前ですが
、本音は彬と未来の距離が
どれくらい縮まっているのか確かめたいんですよね。




