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曖昧な記憶の、その隣で  作者: はる乃


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第二十九話 小さな嘘の積み重ね

新しいスマートフォンの設定を終え、

未来は「ライモ」を開いた。


「よかった……。」


トーク履歴は消えてしまったものの、

友だち一覧は少しずつ復元されていく。


高校時代の友人。


大学のサークル仲間。


会社の同僚。


「美香ちゃんもいる。」


未来は少し安心したように微笑んだ。


その時だった。


「あれ?」


首をかしげる。


「どうした。」


彬が隣から画面を覗き込む。


「先輩がいないんです。」


「……。」


「私たち、付き合ってたんですよね?」


「なのに、ライモで繋がってないなんて変じゃないですか?」


「恋人なら、一番最初に登録してそうなのに……。」


彬は一瞬だけ言葉に詰まる。


本当は、繋がっていないのが当たり前だった。


未来が毎日やり取りしていた相手は、

自分ではなく真二なのだから。


「……俺たち。」


彬は視線を逸らした。


「付き合ってからも、連絡はほとんど電話だった。」


「お前、何かあるとすぐ電話してきただろ。」


「だから、ライモを使ってなかった。」


未来は目を丸くする。


「私、そんなに電話してたんですか?」


「ああ。」


「日に何回もな。」


少し照れくさそうに笑う彬。


「だから、わざわざ文字を打つことなんてほとんどなかった。」


未来は頬を赤くした。


「そ、そうだったんですね……。」


「なんだか恥ずかしいです。」


その様子に、彬は小さく笑う。


「じゃあ。」


未来はスマートフォンを差し出した。


「これから、改めて繋がりましょう。」


その笑顔を見た彬は、一瞬だけ胸が締めつけられた。


――また一つ、嘘を重ねてしまった。

この嘘を信じたのか、どうかも気になりますね。


うそは

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